「ハッピー・バースディ」 新井 素子

黄金のとき― それは人生にそう幾度とない、全てが輝いて見えるとき。
5月、あきらはその真っ只中にいた。大好きなきーちゃんがくれた幸せな時間。
しかしそれは突然かかってきた電話、「いい気になるなよ」の一言から崩れていった。


凄く読みやすくて一気に読んじゃいました。
読みやすくて、というより読者を引き込むという感じでしたが。
まずこの本、装丁がとても可愛いんです。パステルカラーでいかにも幸せが詰まってそう、みたいな雰囲気で。

だけど見事にそれは裏切られました。
はっきり言って怖かったです。もうありえないくらいに。
登場人物に感情移入しすぎたかもしれない・・・。
幸せの絶頂から不幸のどん底まで一直線に落ちるその感覚、言い様のない恐怖に包まれる日々、それが体に纏わりついてる感じで未だに怖さが抜けません。

一人の人をそれこそ依存してしまうくらいに愛するということは、私の目にはもう幸せというより恐怖としてしか映りません。それほど価値観が変わってしまった気がします。
運命の流れに逆らう事、運命の分岐点で自分の選択をする事、それはただ流されるよりも大変だけど、とても意味がある事のように思います。

あきらが流されたままじゃなくて、祐次が流れに逆らう事ができて本当によかった。
自分の選択に秘められてる無限の可能性が見えた気もしました。
後味は悪いけど、とても圧倒させられる作品でした。

★★★★☆

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