「ブギーポップ・オーバードライブ歪曲王」 上遠野 浩平

記憶力が悪いのは絶対的に損だと思いつつ読んでいました。
「ブギーポップは笑わない」で出てきたお馴染みのキャラがたくさん登場するんですが、如何せんはっきりと思い出せないのです。
せっかくの懐かしい人の登場を存分に味わえなかったのがとても残念です。
それはともかくとして、今回は人間の内面の戦いでした。
なんて言うか、形としての世界の敵の存在がなかったんです。

歪曲王は、誰もが持っている心の歪みです。
歪曲王が見せた世界では、冴子の世界が一番好きです。
罪悪感という歪みは優しさからくるものだっていう言葉は、確かに苦痛を黄金に変えてくれたように思います。

私の中で衝撃的だったのは、「笑わない」はずのブギーポップが笑ったこと。
そう見えただけかもしれないのだけど、確かに微笑んだんです。冴子の言葉に。
そして上遠野さんの小説の構図は相変わらず私の期待を裏切らず素敵なものでした。

希望も、絶望も、歓喜も、悲嘆も、愛情も、憎悪も、恍惚も、嫌悪も、天国も、地獄も、過去も、未来も、昨日も今日も明日も、夢も、悪夢も、そして世界も、すべて――
ヒトがつくったものだ。

ヒトがつくったもので、ヒトに壊せぬものなどない。

★★★

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