「精霊の守り人」 上橋 菜穂子

名の知れた用心棒”短槍使いのバルサ”はある日、川へ転落した新ヨゴ国の第二皇子チャグムを助ける。それが、全ての始まりだった。
バルサは礼のために招かれた后ノ館でチャグムが水妖に憑かれていること、災いを恐れた帝からの刺客に狙われていること、を告げられると同時に護衛役を頼まれるのだった。


すごいすごいすごい。
圧倒的でした。常に貸し出し中でやっと借りられただけあります。
何がすごいって、まずは”サグ”と”ナユグ”の宇宙観でしょう。
同じ場所に同時に存在する世界。精霊たちの住まう世界。
チャグムを通して見たナユグの美しさと広大さは素晴らしいものでした。

それとこの物語の主人公、バルサは三十代前半の女性。
そもそもこの設定の時点で風変わりです。そして彼女はべらぼうに、強い。
義父ジグロから教わった武術は天性のものもありみるみる上達し、今ではそこらへんの男じゃ歯が立たないほどの強さ。戦うシーンの緊迫感なんかも凄かったです。
呪術師や星読みといった人たちの存在も物語をより楽しませてくれました。

七十歳にもなるトロガイがその生涯でもまだ学びきれていないというほどに深いこの世界。
これほどシリーズになっていてくれて嬉しいと思う本は初めてかもしれない。
昔から伝えられているものって時が経つにつれて忘れられていくものが多い、だからこそ今現在も伝えられてきてるものはとても大切だと思うんです。

ナユグの谷はまるで底がないように、ふかく、暗い。そのしめった、小暗い闇の底に、ときおり、なにかうごめく気配を感じたりもした。
だが、ナユグの風景は、おそろしいだけではなく、はっと胸にせまるほどうつくしくもあった。ナユグの水は瑠璃のように青く、どこまでもふかい。
花は、まるでおのが命をほこっているかのように、あざやかにさきほこっている。大気は、胸がすくほどにすんで、甘かった。

★★★★★

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