「キノの旅Ⅴ the Beautiful World」 時雨沢 恵一

価値観の違いによって、人は同じものを見ていてもその物事に対する感じ方が違います。
よって、周りがそれを “美しくない” と言ったとしても、自分が “美しい” と思ったらそれは確かに “美しい” んです。これは、そういった価値観のお話でした。
このシリーズも5巻目に入り、そろそろネタが尽きちゃうんじゃないかと心配してたんですが、要らぬ心配だったようです。

時雨沢さんの作品はあとがきも特徴的だけど、プロローグ・エピローグも一風変わっていて、今回のは私にとって今までの中で一番に好きなものになりました。
この「夕日の中で」でも感じたことだけど、価値観の違いを目の当たりにすると切なくなってしまう。
たとえ偽物の世界でも “当人にとってそれが本物であればそれでいい” と思うのに、ふと “それでもそれは所詮偽物に過ぎないんだ” と気づいて悲しくなる。そういう切なさに溢れていました。

とくに好きだったのは「英雄達の国」でした。
キノの戦闘シーンもかっこよかったし、新鮮に楽しめました。
やっぱり強いですね。「用心棒」に出てきた師匠も強くてかっこよかったですし。
それに加えて「病気の国」で見られたような優しさもあって、更にキノが好きになりました。

キノは男の目を、ゆっくりと閉じた。
「 “―英雄達は還らず。ただ我々の胸に生き続ける―” 」
キノはつぶやいた。そして目を閉じた。

★★★☆

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