「僕の心臓を盗まないで」 テス ジェリッツェン

読み終えた時、鳥肌がたっているのに気がつきました。
医療サスペンスというものがあるのなら、これはまさにそれです。

数々の謎や命を狙われる危険にハラハラしながら読みました。医療という難しい分野を扱っていながら決して飽きさせません。
そういったサスペンスを味わえる他に、人の生死に対する大きな問いかけをしてきます。
移植先進国であるアメリカで、臓器の提供を待つ人は5千人以上います。
そしてこれらの人たちは身分や人種に関係なく病状の悪い人から順にリストに載せられます。
ここには貧富の差なんてものはありません。
何故なら、命の重さはみな平等だから。
命の重さはみな平等。
これは正しいし、そうでなくてはなりません。

しかし、生死に関わる場面で、大切な人と全く知らない人の命が平等だと思えるでしょうか。
2人は助けられない。
もし、自分次第で大切な人を助けられるとしたら、例え他人を犠牲にしても、例えそれが倫理に人道に法に反することだったとしても、私はそれをしてしまうかもしれない。
命の重さは本当に、平等なんでしょうか。
重い問いかけだと思います。

アビーは振り返り、相手の女の苦しげな眼を覗き込んだ。
「わたし、夫を愛しているんです。夫もわたしを愛しています」
「だったら許されるんですか?」

★★★★☆

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