「すいかの匂い」 江國 香織

時々ふっと江國さんの本を読みたくなる時があります。
思い出したようにそう思いつくと、途端に江國さんの織り出す世界が恋しくなる。

今回手に取ったこの『すいかの匂い』は11人の女の子の夏の記憶でした。
子どもだった頃、大人にはわからない子どもの世界というものが存在していた気がします。
大人だって昔は子ども。それでも大人になると忘れてしまうものは本当にたくさんある。

幼い頃の子どもは無邪気で残酷。
小さな私は、赤蟻と黒蟻のどっちが強いのかが知りたくて、二匹を捕まえてフィルムケースに閉じ込めたこともありました。
今まで忘れていたようなことを次々と思い出して懐かしくてたまらなくなりました。
遊んだ帰り道のよその家の夕食の匂い、花の蜜のほのかな甘さ、水の中に聞こえる泡と波の音。

あとがきで川上さんが書いていた通り、江國さんの本を読んだ後には「じぶんのはなし」をしたくなります。


おしろい花の濃いピンク色が、まるで闇を吸収するように、深く、つめたく、冴え冴えとしている。駄菓子屋の前でたむろしている男の子の、意地悪な舌とおなじ色だと思った。

★★★☆

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