「サムシングブルー」 飛鳥井千砂

2年間付き合った、結婚を意識していた恋人と別れてしまった27歳の梨花。
頭が痛くなるほど泣いた翌日、結婚式の招待状を受け取る。
差出人は、高校時代の彼氏と親友。
二人が付き合っていたなんて全く知らなかった。失恋と二重のショックに打ちひしがれるも、迷いながら、揺れながら手探りで幸せを追い求める。


想像するだけで泣きたくなるようなシチュエーションで始まるこの物語、こんなにも幸せな懐かしいような気持ちで読み終えることができるなんて、本当にびっくり。

最近めっきり失意の底から立ち直る、みたいな物語に惹かれるので手にした1冊でしたが、相変わらず飛鳥井さんの作品はどこか友達の話を聞いているような、身近な感じでいいですね。
これがハッピーエンドかどうかは読む人によって捉え方が違うと思うけれど、思った以上に爽快感があって、頑張らなきゃ!お祝いできるようにならなきゃ!って張り詰めていたものがゆるやかに溶かされていくような、肯定される感じに思いのほか涙腺が刺激されました。

失恋後におすすめの1冊かもしれない。
流産してしまった義妹が登場するのだけど、彼女の台詞にもじんわり。天然記念物級に空気の読めない野島くんという男の子も何気に存在感があるし、どの人物もいい面、人には言いづらい面があったりして、そんなところも楽しめます。やさぐれた心がほぐれるような1冊でした。

「哀しみって、ちゃんと底があるんですよ」
(中略)
「泣くだけないたら、ある日突然すっきりしちゃいました。それまで長い間落ち込んでたのが、嘘みたいに。
底まで行ったら、あ、ここに出口があった、なぁんだ、って感じかな。最初から、思い切り落ち込んじゃえばよかったのに」
 (p205)

★★★★

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