「ナラタージュ」 島本 理生

ずっと想い続けていたひとと交わした熱い瞳、もう、この恋から逃れることはできない–早熟の天才、少女時代の最後を傾けつくした、絶唱というべき恋愛文学。

胸が苦しくなるほど切ない物語です。
読んだら忘れてしまう本も多い中で、何年も経ったのに頭の中にシーンや台詞が再現されます。言葉がチクチク胸に刺さります。
読了後に余韻がいつまでも残りました。
装丁も絶妙。失恋した時はぜひこの本を、と言いたいです。

死んでしまうくらい嫌なことなんて簡単に放り出してしまっても構わないんだ。
君よりも苦労してがんばっている人がいるから君もがんばれ、なんて言葉は無意味で、個人の状況を踏まえずに相対化した幸福にはなんの意味もない。
誰だって本当は自分の好きなことや明確化した人生の目標に対してしか苦しんだり努力したりはできないものなのだから。君が本当に今いる場所から離れたいと思ったとき、僕はそれを逃げているとは思わないよ。

あのときを振り返ってみて自分の選択が間違っていたとは思わない。そんなふうに少し横道にそれても自分の意志さえ明確だったら最後にはちゃんとたどり着けることがわかった。

普段は意識しなくとも、人間はじつは自分が思っている以上に多くのものに守られているし、その状況を切り離してしまうことがいかに困難か、君もいずれ分かるときが来るよ。

そろそろ限界だと思った。いつまでも同じ場所にはいられない。

なにもいらないと思っていた。そんなふうに一緒にいるだけで手に余るほどだったのにいつの間にか欲望が現実の距離を追い越して、期待したり要求したりするようになってた。どんどん贅沢になっていたんだな、と思った。

一緒に過ごして楽しかったから。苦しくても、都合の良いことだけ覚えていてみせる。

僕はね、いつだって君が心配なんだ。苦しんだり傷ついたりしないで生きているかどうか。それが守れるなら僕の独占欲なんてどうでもいいし、執着を見せないことを薄情だととられても構わない。

★★★★★

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