「MISSING」  本多 孝好

このしんとした感じ、すごく好きです。
“MISSING” は、 ある[いる]べき所にない[いない]、見つからない、紛失している、という意味だそう。
まさにタイトル道理の内容だった気がします。「祈灯」がとくに好きでした。
人物でいえば、京子とルコ、それにウォンバットがお気に入り。「祈灯」や「瑠璃」の余韻は心地よかったです。

決して本当の意味でわかりあえない。助けを求めていながらすべてを拒絶し、どんなに近づいても越えられない一線を自ら引いてしまうことの辛さは、共感できるものでした。
だから、京子の気持ちは痛いほどわかるし、彼女の行動も納得できる。人間は悲しい生き物だと、すこしだけ思いました。

祈ることと呪うことは、どちらも切に願うという意味で表裏一体なのかもしれない。
私もそんな他人のささやかな幸せを、祈れるようになれたら。
「瑠璃」のテーマはありきたりなように思えたけれど、その独特な作風と魅力的な登場人物、余韻のよさから気に入っています。いつまでも主体的に生きれたらいいね。

「実在の方を消そうとしたわけだ」
私は笑った。
「仕方ないよな。影は消せない」
私の空ろな笑い声は波に飲まれた。

★★★★

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