「図書館危機」 有川 浩

誰もかれもがカッコイイ。
そのカッコよさの秘密は、きっと「一生懸命」だから。
読んでいてそんなことを思いました。
今回もたくさん笑って、目頭を熱くして読みました。

前作で気になってた王子様の話にどう決着をつけるのかと思いきや、あんな宣言でくるとは!
まっすぐに進むとそうなるのかと面白いやら、清々しいやら。
郁の成長が特に見られた1冊でもありましたね。
堂上との空気が甘くなるのに反比例して、職場での甘えがなくなった気がします。
本人が自覚したからなのか、堂上×郁の空気は極上スイーツ並みに甘い。

激しい戦闘もある中、得体のしれない違和感をずっと感じてました。
リアルじゃないな、と思うその根拠はなんなんだろうと。
それはたぶん、私たちの世界と似ているこの世界で、良化法を通してしまうよな世界で、本のためにここまでの激闘が繰り広げられていることに対して。
いくら仕事とはいえ、命をかけて守ろうとするほど、彼らにとって本とは尊いものなんだろうか。
無関心から良化法の施行を許してしまったのに?
もちろん守っているのは本に限らず、それを読みたいと思う人たちもなのはわかっているけど、仮に私たちの世界で良化法が通ったとしても誰も命をかけてまで何かをしようとしない気がする。だから、この世界だってきっと。と思うのが違和感の原因なのか、
身体を削ってまで検閲をする良化委員会側の動機が見えないからなのかは謎ですが、現実はきっともっと醒めてるよ、と思ってしまう自分が少し悲しかったです。

言語規制って、不思議ですよね。
決して悪意じゃないからこそ、少しタチが悪い。
3章は多くの人に読んで欲しい。ただ小難しい文章にしたのではなく、こんなにも素敵な物語にして世界に届けてくれる有川さんに感謝したい。
そして毎度のことですが、巻末のインタビューがものすごくいい。毎回楽しみです。

・・・・・・だっから、きゅんとか鳴るなAカップの分際で―――!  (p80)

「決めた人たちはありがたい気遣いのつもりかもしれません、でもこっちにすれば「何様だ」って話ですよね。差別してるのはむしろお前らじゃないかって言いたい」  (p158)

★★★★

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