「空飛ぶ広報室」 有川 浩

不慮の事故でパイトット免許を剥奪された空井。
パイロットでなくなった彼が配属されたのは、防衛省航空自衛隊航空幕僚監部広報室。
待ち受けるのは、ミーハー室長の鷺坂をはじめ、尻を掻く紅一点のべらんめえ美人・柚木、鷺坂ファンクラブ2号の気儘なオレ様・片山など一癖も二癖もある先輩たちだった。
「あの日の松島」を書き下ろした待望のドラマティック長篇。


私的に泣きどころが多くて、わりとしょっぱなから泣きまくって、読み終わってみれば明け方で目が溶けそう。

有川さんはデビュー作が自衛隊ものだと聞いていますが、私にとっては初の有川さんの自衛隊もの。
子どもの頃からの夢に手が届く寸前で無残にも夢が散った主人公の境遇だけで泣ける。それなのに、男社会で女として生きる柚木の戦いとか、震災で活躍した自衛官の強い想いとか、他にも泣きどころがいっぱい。

自衛隊といえば、友人が監査部門に配属になって、「人の役に立ちたくて自衛隊に入ったのに、こんな人から嫌われる部署に配属されて悔しい」と配属されてしばらくしてから話していたのを思い出します。
とはいえ、今回登場する広報もそうだけど、縁の下の力持ち的に自衛隊を裏から支える人たちもいるんですよね。
思いもよらないところで頑張らなくてはいけない時、それを新たなチャンスと捉えるか、やさぐれるか。
主人公の、後ろばっかり振り返っていたら、自分の人生もう余生じゃないですか(意訳)という言葉が胸に刺さりました。

国(民)を守ることを一番の使命とした自衛隊は、制限がとても多い職業でありながら、有事には一番頼もしい意義のある職業だと思います。
それでいて、「いざというときが来ないことを願いつついざというときのための練成に励む彼らは、無駄に終わらねばならない訓練に命を懸けて臨んでいる」という忍耐力に本当に感じ入ります。
先の震災では自衛隊の活躍がクローズアップされましたが、本当は震災なんてこなければそれに越したことはないし、自衛隊が活躍するような事態が起きなければいいと思う。それでいて、厳しい鍛錬で有事のために備えている人たちがいる、ということが本当に頼もしい。
「疎んじられながら永遠の待機状態が最上」なんて言い回しが本書にはありましたが、接点がないからといって無知でいるのではなく、せめてしっかり知っていたいと思いました。

今回ベタ甘要素は少なめでしたが、女性陣のトゲトゲしたものが柔らかくなっていく様が個人的にはすごくよかったです。
この本自体が自衛隊の広報側からのアプローチだったというのも驚き。いい仕事してますね。

★★★★★

follow us in feedly

Pocket

トラックバックURL

トラックバック一覧


1.空飛ぶ広報室 有川浩

空飛ぶ広報室著者:有川 浩幻冬舎(2012-07-27)販売元:Amazon.co.jpクチコミを見る オススメ! 不慮の事故でP免になった戦闘機パイロット空井大祐29歳が転勤した先は防衛省航空自衛隊航空 ...


2.『空飛ぶ広報室』/有川浩 ◎

水無月・R大絶賛!読んだら即萌え!萌えの女神降臨!{%キラキラwebry%}の有川浩さんですよ! でも本作『空飛ぶ広報室』ではあんまり、ぎゃあぎゃあ萌えのたうち回るんではなく、色々な…


3.空飛ぶ広報室(有川浩)

泣いた、泣いた、泣きまくったーっ! ・・・と、今回の有川さんの新刊は泣きのツボを押されまくった長編でした。


4.有川浩/「空飛ぶ広報室」/幻冬舎刊

有川浩さんの「空飛ぶ広報室」。 不慮の事故でP免になった戦闘機パイロット空井大祐29歳が転勤した先は防衛省航空自衛隊航空幕僚 監部広報室。待ち受けるのは、ミーハー室長の鷺…


「空飛ぶ広報室」 有川 浩” への8件のコメント

  1. こんにちは^^
    有川さんの自衛隊もの初めてでしたか!自衛隊3部作と言われている「空の中」「塩の街」「海の底」どれもおすすめですよ^^
    ただ有川さんといえど初期作品だと思って読んだ方がいいかも知れません。悪いって意味じゃないですよ^m^
    この作品も有川さんだからこその丁寧な取材が分かる内容でしたねー。
    広報室という仕事内容も勉強になりましたし広報室の個性的な人たちも好きでした^^
    そういえば、ドラマは私見ていないのですがロケ地だった茨城空港に去年行きました。行ったらここでロケが行われました!と宣伝されていて私は原作の世界に浸っていました^m^

  2. こんにちは~!そちらの3部作、タイトルがまずすごくいいですよね。
    うん。今年中に読もう。そうしよう。。。!
    今でこそ有川さん大好きですが、そういえば振り返ってみると最初は自衛隊ものをガンガン出す作家さんってどんな人なんだろう、と少し及び腰だったかもしれないです。
    有川さんの作品はどれも取材がほんと丁寧ですよね。知らない世界をたくさん見せてくれて、感謝の気持ちでいっぱいです。たのしい。
    そして、この作品ドラマ化されてたんですね。。。!?
    映像化するとまた現実とリンクされておもしろいですよねぇ。ますます多くの人の目に留まるし。この作品読んでブルーインパルスを見たくなりましたが、見たらきっとこの作品のこと思い出してじーんとしちゃいそう。笑

  3. yocoさん、こんばんは(^^)。
    とにかく「あの日の松島」を読みながら、ずっと泣いていたことを思い出します。
    もちろん、本編もとてもよかったのですけど。
    自衛隊という「起こっては欲しくない有事のために、日々の訓練を続ける」組織の、それでもその活動を広く知らせるための『広報室』という存在が、とても印象的な物語でした。
    出てくる広報室メンバーのキャラの濃さが、楽しかったです。
    ちなみに、TVドラマでは、小説では描かれなかったラブロマがありました。
    映像でこういう演出を付け加えてるのも、なかなかにときめきましたよ♪

  4. 私も目が溶けちゃいそうなくらい泣きまくりました。いろんな部分で泣きのツボを押さえまくられた作品でした。
    私も「~余生じゃないですか」という言葉が印象に残ってます。人生、思い通りにいかないことの方が多いんだから、その時、その場で、精一杯頑張っていくことが大事なんだなぁと、そしたら新たな道が拓けていくんだなぁとそんなことを思いました。
    ドラマは昨年、TBS系列で放映されましたよ~。普段は映像化は好きじゃない方なんですが、個人的にこれは良かったです!自衛隊の協力っぷりも半端なくってビックリしましたし、原作と違ったラストも大満足でした。機会があったら(再放送とか)是非、ご覧になってください。

  5. 水無月・Rさん、こんばんは^^
    「あの日の松島」はほんと、この本で読めてすごくよかったですよね。
    ちょうど母が東北にいて全然連絡が取れない中ニュースでは津波の映像ばかりで相当怖い想いをしましたが(無事でした)、現地にいた人の怖さや歯がゆさはその比じゃないですよね。
    皆さんドラマもばっちりチェックされてるんですね・・・!
    >小説では描かれなかったラブロマがありました。
    これすごく気になります!
    原作映像化ははずれもありますが、図書館戦争もよかったし、気になりますね。。。!

  6. すずなさんこんばんはー^^
    ほんと胸にずばっと響く台詞もまた有川作品の魅力ですよねぇ。
    かっこいい生き様を見せられて思わず背筋がしゃんとしました。
    あー。。。。私もうじうじしていないで前に進まないと・・・!と。
    ドラマはきっと、自衛隊の協力全開だったんでしょうねぇ・・・!そして原作と違ったラストですって・・・・?!あー映画と違って手軽に借りれないのが口惜しい(;▽;)
    とはいえ、まずは有川作品読破から始めようと思います。

  7. 私はちょっと有川作品に対する思いがほかの方と違うので、
    多分少し感想がずれていると思うのですが^^;
    自衛隊も広報活動頑張っているんだなーといろいろと勉強に
    なりました。
    ドラマは新垣結衣さんと綾野剛さんが主演されていたんですよね。
    たまに観てました。それほど原作から外れている印象は
    なかったですけど、どうだったんでしょうか。
    ・・・すずなさんが良かったというのだから、大丈夫だったんでしょう(笑)。

  8. べるさんこんにちはー!
    いやいや、いろんな捉え方があると思うので全然いいかと^^
    かくいう私も有川さん好きでありながら、自衛隊に偏見もないんだけど、読もう読もうと思っているのに有川さんの自衛隊ものになかなか手が伸びないでいるので・・・
    なんでしょうね、登場人物の格好いい活躍は好きですが、美化されすぎていたらやだな、なんて思いがあるような気がします。なんか屈折してますかね;
    そうそう、私もウェブで調べたら新垣結衣さんと綾野剛さんでしたね!
    小説とは違う角度で見れるって、おもしろいですよね。映画にしかり舞台にしかり。
    >・・・すずなさんが良かったというのだから、大丈夫だったんでしょう(笑)。
    これは確かにわかる気がします。笑

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。