「嘆きの美女」  柚木 麻子

ほぼ引きこもり、外見だけでなく性格も「ブス」、ネットに悪口ばかり書き連ねる耶居子。
あるとき美人ばかりがブログを公開している「嘆きの美女」というHPに出会い、ある出来事をきっかけに彼女たちと同居するハメに。


「美人」か「ブス」か。
どちらか選べると言われたら美人になりたいけれど、美人だからといって何もかもが上手くいくわけでも、ブスだからといって何もかもが上手くいかないわけでもないですよね。

そういう意味では、「ブス」だから、と周りを妬んで引きこもって、呪詛を吐きながら生きるのも、「美人」だから、と叩かれないよう自分を殺して曖昧に微笑んで過ごすのも対極でいて似ているような気がします。要は容姿に囚われすぎなくてもいいんだと思います。容姿の持つ影響力は大きいけれど。

本書では変わった共同生活を経て、互いの強みを吸収しながら自分にしていた「言い訳」を捨てて強くなっていく魅力的な女性が描かれていました。
綺麗な部分だけじゃなくて醜い部分もしっかり書かれているのがまたいいですね。人間だから、時にやさぐれて八つ当たりしたくなるような時期だってありますよね。

それから改めて思ったのは、それぞれ人にはその人に合う活躍できる領域があるということ。女子大卒業後に入社した保険会社は、同僚になじめず半年で辞めて、アルバイトも続かなかった主人公だけど、それは主人公が駄目だったというより、主人公に合わなかったということに過ぎなくて、そういう意味で自分を知って、自分が一番輝ける場所で働けるというのはとても重要なことに感じます。
我慢強い人ほど合わない環境でもなんとか耐えて過ごしたりするけれど、本当は一歩踏み出したらもっと自分に合うところが見つけられるんじゃないか、なんて。
なので、一歩踏み出した人たちの物語はカッコよくて魅力的。

それから個人的には番外編の「耶居子のごはん日記」が大好き。本書に出てくる食べ物たちにはすごくわくわくさせられます。初柚木さんでしたが、おもしろかった。

「でも、安全な場所で好きなものだけ見つめて生きていくのって、なんか違う気がする。
思い切って、苦手な領域に飛び込むことで見えてくるものもあんのかなって、最近思うようになった。少なくとも恨みやわだかまりからは解放される気がするんだよね」  (p111)

★★★★

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1.『嘆きの美女』 柚木麻子

3日~4日。 読書メーターで知った作品。 柚木麻子さんは初読み。 生まれつき顔も性格もブスな耶居子は、会社を辞めほぼ引きこもり。 そんな耶居子の楽しみは、美人専用悩み相談…


「嘆きの美女」  柚木 麻子” への4件のコメント

  1. こんにちは!
    いつもブログに遊びに来ていただいてありがとうございます☆

    yokoさんのこの作品のレビューを見て、
    辻村深月さんの「盲目的な恋と友情」と
    設定が似ていて、
    読み比べると面白そうだなと思いました。
    でもレビューの感じからすると
    同じモチーフでも全然違うカラーのような
    気がしていて、そこがさらに興味深いです。
    今度読んでみたいです。

  2. ともりんさん、こんにちはー^^
    こちらこそ、いつもありがとうございます♪

    「盲目的な恋と友情」、先日ブログで紹介されてましたよね。
    美人とそうでない人の物語ってところは確かに似てますよね。
    実際読んだことないので比較できないんですが、レビューからだとこちらの方が少し狂気を感じるような気がしたりして・・・気になります。
    辻村さんも今年読んできたい作家さんの1人なので、見つけたら手にとってみようと思います。
    それと、先日津村記久子さんの本読みました!(「ワーカーズ・ダイジェスト」)
    近々感想アップしますが、淡々としてるけど確かにおもしろいですね。
    読みたい本がいっぱいです・・・!

    • ワーカーズダイジェスト、まだ読んでません☆〜(ゝ。∂)
      レビュー、楽しみにしてます☆
      それにしても、読みたい本が多すぎますね、ほんと。。

      • (こんな、返信なんて機能があるのに、今気づきました・・・!)
        ワーカーズ・ダイジェスト、よかったですよー^^
        静かな感じの読み心地がすごくよくて。
        まぁ好きな本を読めることは幸せなので、ぼちぼち読んでいきます(*´▽`*)

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