「「老いる」とはどういうことか」 河合 隼雄

「老いる」ことを人生の大切な課題と考える人が急に多くなった。
あるいは、自分の両親が「老いる」のをどのように受けとめるかについて。
「老いる」ことを考える上でひとつのヒントとして、この本をぜひ。

“老いるとはどういうことか” は入試の小論文で私が出された課題そのものでした。
参考になるかもしれないと本を購入したものの、読むことによって影響を受け、自分自身の考えを書くことができなくなるんじゃないかという不安から、結局今まで読むことができませんでした。
いざ読んでみると、110のコラムから成るこの本は私に、新しい考えを次々と分け与えてくれました。

この本はハウツー本ではなく、こういう考え方もあるんだよという様々な引用や著者自身の考えが述べられています。
見開き1ページで1つのコラムという形式から気軽に読むこともできるし、何より押し付けが全くないため素直に読むことができます。

中でも特に面白いと感じたのが、アイヌの人たちの考えた「神用語」というものでした。
アイヌの人たちは、老人の言うことがだんだんわかりにくくなると、老人が神の世界に近づいていくので「神用語」を話すようになり、そのために、一般の人間にはわからなくなるのだと考える、という。

痴呆といえば、ただわずらわしいものとして思われがちだけど、そう考えれば見方も変わってくる気がします。
日本はまだ福祉先進国のようなシステムの整わないうちに高齢社会になってしまったために、国としても、また国民としても戸惑いは大きいだろうし、こんなに生きるはずじゃなかったのに、という人も少なくはないはずです。
そこで悔やむよりは、前向きな思考でいる方がずっと楽しく過ごせるはずです。
この本はそんなきっかけを与えてくれます。

日本は税金を取られる、と思っているが、デンマークの人は税金をあずける、と思っている。
つまり、働けるときに「あずけた」金によって、その老後を国がちゃんとみてくれるというのである。

★★★★☆

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