「泳ぐのに、安全でも適切でもありません」 江國 香織

愛にだけは躊躇わない、あるいは躊躇わなかった女性の物語。
「泳ぐのに安全でも適切でもない」人生のなかで、蜜のような一瞬を生きる女性たちの、凛々しくて、切なくて、幸福な珠玉の物語10編。
第15回山本周五郎賞受賞作。


江國さんの世界を思い切り感じられます。
タイトルからして秀逸。読み終わってから改めてタイトルを見ると感慨深いです。

人生も、恋愛も、確かに保証なんて何もない。
仮に「泳ぐのに、安全でも適切でもない」という看板を目にしたとして、あなたはそれでも飛び込みますか?入ってみますか?という問いかけをされているよう。
それと同時に、あなたの人生がまさにそうなんですよ。気付いてますか?とこっそり囁かれてるよう。

作中の女性たちは皆、世間的に見て一言で「幸せな恋愛」とは呼べないかもしれない。
それでも、一瞬一瞬の至福の時を確実に味わっている。
まるで蜜のようなその味を知ってしまったら、後には戻れないかもしれない。

江國さんの感性に触れて、自分のアンテナを刺激されました。
同じ世界に生きているはずなのに、こうも感じる世界が違うのかと、その感性の鋭さにいつも驚かされます。
「うんとお腹をすかせてきてね」が一番好き。
そして、あとがき・解説がとてもよかったです。解説は山田詠美さん。

瞬間の集積が時間であり、時間の集積が人生であるならば、私はやっぱり瞬間を信じたい。SAFEでもSUITABLEでもない人生で、長期展望にどんな意味があるのでしょうか。  (あとがき)

★★★☆

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