「本日は、お日柄もよく」 原田 マハ

OL二ノ宮こと葉は、想いをよせていた幼なじみ厚志の結婚式に最悪の気分で出席していた。
ところがその結婚式で涙が溢れるほど感動する衝撃的なスピーチに出会う。それは伝説のスピーチライター久遠久美の祝辞だった。
空気を一変させる言葉に魅せられてしまったこと葉はすぐに弟子入り。
久美の教えを受け、「政権交代」を叫ぶ野党のスピーチライターに抜擢された!目頭が熱くなるお仕事小説。

タイトルから、表紙から、ちらっと覗いた最初のページから、結婚式が舞台の物語かと思っていたら、意外や意外、スピーチライターという日本には馴染みのない職を軸に、政治にまで話が及んでびっくりでした。

5年以上昔の本だけあって、時事ネタはやっぱり古く感じてしまうものの、郵政民営化やタレント的に人気な首相のことなど十分記憶に残っています。
知ってる事柄だけに身近に感じる一方で、政治や宗教は一般的にタブー視されやすい話題なのに、ここまで踏み込むか、と少したじたじ。
完全フィクションならまだしも、ところどころリアルなものを織り交ぜているので、いろいろと当時のことを頭に浮かべて読み進めるようでした。

とはいえ、スピーチライターにまつわる話しはとても感動的で、言葉が人に与える影響、パワーの大きさを感じずにはいられません。
本当に、言葉で世界は動く気がします。
政治については、私も世の中の若者と同じように自分には関係ないもの、どうせ何も変わらない、という気持ちでいましたが、最近ようやく少しずつ興味が持てるようになってきました。
それもこれも、積極的に発信していこうという若手政治家たちの存在が大きい気がします。相手に届けようと工夫をした情熱のある言葉たちは、いつか必ず伝えたい人に届くような気がしています。

心に響くスピーチに胸を打たれることがありますが、そんな大物たちの陰にスピーチライターという縁の下の力持ち的なスターがいたことを初めて知れてたのもよかったです。
作中のスピーチはどれも素敵で、まだ日本ではあまり馴染みのない職のようですが、これから活躍する人が増えていけばいいなと思います。

君のお父さんとお母さんが君に与えてくれた体を、大切に使いなさい。そして心は、君自身が育てていくんだ。大らかに、あたたかく、正義感に満ちた心に育ててやりなさい。 (p282)

「初めて挑戦するからには不安なことも多いだろう。けれど、初めてだからこそ、真摯に向かい合えることもある。初心忘るべからず、とはそういうことなんだ」 (p170)

★★★★

follow us in feedly

Pocket

トラックバックURL

トラックバック一覧


コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。