「メロディ・フェア」 宮下 奈都

私はこの世界の小さいところから歩いていくよ。

大学を卒業した私は、田舎に戻り「ひとをきれいにする仕事」を選んだ。
けれども、お客は思うように来ず、家では化粧嫌いの妹との溝がなかなか埋まらない。
そんなある日、いつもは世間話しかしない女性が真剣な顔で化粧品カウンターを訪れて――
瑞々しさと温かさを兼ね備えた文体で、まっすぐに生きる女の子を描く、ささやかだけど確かな“しあわせ”の物語。

「無人島に何かひとつ好きなものを持っていっていいと言われたら、迷わず口紅を選ぶだろう。
誰も見るひとがいなくても、聞こえてくるのが果てしなく繰り返される波の音だけだとしても、ほんとうに気に入っている口紅が一本あれば。毎朝それを引くことで、生きる気力を奮い立たせることができるような気がする」

という、心惹かれる文章から始まるこの小説。
ビューティパートナーとして働く女性が主人公です。

学生のころ、化粧品売り場のとなりにある雑貨フロアでアルバイトをしていたことがあって、モールの独特な雰囲気を思い出しました。
要は、常に賑わっているわけじゃない、キラキラしたところというよりは、日常が舞台になっているようなところ。

静かな空気感でいながら、春にぴったりな、ちょっと心がわくわくするような1冊で、読むと丁寧にお化粧をしたくなるし、新しい化粧品が欲しくなりました。
素直じゃない幼馴染の女の子や、なかなかわかりあえない妹の存在も、それから凄腕?マネージャーも、淡々とした日常の中にスパイスを与えてくれてよかったです。

口紅は確かに女性の印象を変える、最強のアイテムかもしれませんね。

★★★☆

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「メロディ・フェア」 宮下 奈都” への2件のコメント

  1. yocoさん
    こんばんは。
    遅まきながら、TBさせていただきました。

    女性も、男性も、キレイになりたい、格好よく見せたいという気持ちがなくなると、人生がつまらなくなるだろうな、そんなことをこの本を読んで考えました。
    実際の外観がどうということではなく、心の在り方の話ですけどね。

  2. こんばんは~^^
    TBもコメントもありがとうございます!

    男性も格好よく見せたいという気持ちはあると思いますし、女性だと特にお化粧で見え方が全く違うので口紅というのはちょっとしたお守りのような、自分をより良く見せてくれるような自信をくれるアイテムでもあります。
    外見よりも心の在り方ですが、そんな心を勇気づけてくれるアイテムがあることが、なんだかおもしろいですよね。

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