「盲目的な恋と友情」 辻村 深月

一人の美しい大学生の女と、その恋人の指揮者の男。そして彼女の親友の女。
恋にからめとられる愚かさと、恋から拒絶される屈辱感を、息苦しいまでに突きつける。
これが、私の、復讐。私を見下したすべての男と、そして女への―。
醜さゆえ、美しさゆえの劣等感をあぶり出した、鬼気迫る書き下し長編。

元タカラジェンヌの娘であり育ちがいい美女、蘭花。
外見にコンプレックスがあり男嫌いな、留利絵。
どちらも極端に恋、あるいは友情に情熱の比重を懸けていて、いびつな執着心に何とも言えない気持ちになりました。もやもや。

とはいえ、どっちのタイプの友人もいるし、私も昔は恋に盲目になりやすかったので、どちらも「あるなー」と思って読んでました。ただ、ほんと極端ですよね、どっちも。

なんというか、恋は成熟すると愛と呼ばれるものになるかもしれないけれど、一方で相手の存在が自分にとって大きい関係というのは執着を生みやすい。
お互いのパワーバランスが取れている時はいいけれど、どちらかの気持ちが冷めたときや気持ちが移ったときなど、バランスなんて簡単に崩れてしまうんですよね。
そこでじゃあ離れよう、となればいいけど、執着心があるとなかなか離れられない。
楽しいときはまさに天国ですが、互いに苦しいだけの関係に陥りやすいのは、盲目的な恋のデメリットですよね。

そして二人の視点から物語が描かれているから、おもしろいのは外見コンプレックスのある留利絵からの視点では、本当に外見に関わる話題が多いこと。
コンプレックスはきっとプライドの裏返しでもあって、あんまりコンプレックスを前面に出しすぎると引いてしまう気持ちもわかるし、気になってしょうがない留利絵の気持ちもわかる。なんというか、不器用なんですよね。
でも、優しい子なのはわかります。

どちらも異常というわけではなくて、相手が違ったらきっとまた全然違う人生を歩んでいたと想像できるくらい、美波たちその他の女の子と彼女たちにそんなに大きな違いはないように思います。
ネタバレになるので最後については書けませんが、スローモーションで映像が頭の中で再生されて、まるで映画のような物語だとも感じました。

感情に焦点を当てた世界観をうまく表現した装丁も素敵です。
ただの恋愛もので終わらせないのがまたいいですね。

★★★★

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「盲目的な恋と友情」 辻村 深月” への4件のコメント

  1. こんにちは^^
    もうタイトルが素晴らしいですよね。これに尽きます。
    恋は盲目と言いますが、それでも蘭花があそこまであの男に固執する理由が分かりませんでした。
    私はどちらかというと留利絵のタイプです。自分に自信がなくてキラキラしている友達が羨ましいと思っていました。今はそこまでネガティブではないと思いますが^^;
    最後は確かに映画のワンシーンのようでした。スローモーションというのも分かります。すっかり騙されました^^;

  2. こんばんは~^^
    しばらく急に燃え尽きてましたw 図書館も全然行けてなかった(==。
    このタイトル、気になって苗坊さんをはじめいろいろなところのレビュー読んでは読みたいと思っていたので読めてよかったです。
    なんというか、コントロールを失った感情って非常に困ったものですよね。
    客観的に自分を見れるというか、コントロールできる自分でありたいですが。。
    キラキラしている人は、なんというか、眩しいですよねw
    自分が落ちてるときとかは眩しくて見れなかったりしますが、これも心の持ちようなのかなと最近もんもんとしていたり。
    うーん。でも総合的にはおもしろかった!次作も楽しみです(*´▽`*)

  3. どうもー

    女性でも、あまり盲目的でもない自分にはちょっと遠い話に感じましたー
    辻村さんもそういうタイプには感じないけど、
    こういった話を書けるってことは、女性にはどこかしらにある一面なのかな~なんて思ったりしながら読んでましたー
    辻村さんは、自分的にとてもスキでゆっくり読み進めてます!
    yocoさんの辻村作品の感想楽しみにしてまーす

  4. こんばんは~!
    随分とお返事が遅くなってすみません。
    本は自分では見えない世界を見せてくれるから面白いですよねぇ。
    最近また久々のスランプであんまり本が読めてないんですが。
    不定期的にくるこのスランプ、一体なんなんだろう・・・(==
    とはいえ、辻村さん作品はまた読んでいくので、ぜひ一緒に読みすすめましょう~☆

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