「世界の中心で、愛を叫ぶ」 片山 恭一

朝、目が覚めると泣いていた。
悲しいのかさえ、もうわからない。
大切な人をなくした世界は、見るものが何もなくなってしまった世界だ。
高校生のアキと朔太郎による純愛ラブストーリー。

すごい話題作で、先輩からも泣けるよって勧められた1冊。
けれど、淡々と読み終わり残念ながら泣くことはできませんでした。
それほど感情移入ができてなかったのかな。

先が見えていたのと現実にはありえないっていう思いがあったのかもしれない。
だからといってこの作品が嫌いなわけではないのだけど。
むしろどっちかというと好き。

これは読み終わった後に自分で考えてみていいなって思える話でした。
世界の中心は大好きな人がいるところ。
大好きな人のいなくなってしまった世界なんて、きっと真っ白で意味のないもの。
叫んでも届かない、もう届くことのない想いを認めてしまった朔太郎の絶望感と、純粋に相手のみを想う気持ちがきっと多くの人を泣かせたんじゃないでしょうか。
大人になればなるほど朔太郎の言ってることが綺麗ごとのように思えるのかもしれない。
現実的でもないし。

打算なしに誰かを愛することは、同時にそれを無くした時の喪失感の大きさに繋がります。
だからこそ人は恋愛を重ねていくにつれて臆病にも慎重にもなるのでしょう。
二人のような無条件でひたむきな想いはきっと、初恋だったからこそあった面もあると思います。
それは私にはもう手に入れることができないものとして憧れました。

最後のお爺ちゃんの話やアボリジニーの話も好きでした。
「実現したことを、人はすぐに忘れてしまう。
ところが実現しなかったことを、わしらはいつまでも大切に胸のなかで育んでいく。夢とか憧れとか言われているものは、みんなそうしたものだ。
人生の美しさというものは、実現しなかったことにたいする思いによって担われているんじゃないだろうか。ただ虚しく実現しなかったわけではない。美しさとして、本当はすでに実現しているんだよ」

★★★★

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