「タイニー・タイニー・ハッピー」  飛鳥井 千砂

東京郊外の大型ショッピングセンター「タイニー・タイニー・ハッピー」、略して「タニハピ」。
商品管理の事務を務める徹は、同じくタニハピのメガネ屋で働く実咲と2年前に結婚。ケンカもなく仲良くやってきたつもりだったが、少しずつズレが生じてきて…(「ドッグイヤー」より)。
今日も「タニハピ」のどこかで交錯する人間模様。結婚、恋愛、仕事に葛藤する8人の男女をリアルに描いた、甘くも胸焦がれる、傑作恋愛ストーリー。

東京郊外にある大型ショッピングセンター「タイニー・タイニー・ハッピー」が舞台に繰り広げられる、私の大好きな、主人公が変わっていく、連作短編小説でした。
結婚や恋愛、仕事に葛藤する8人の男女の視点を通して物語が進みます。

次は誰の視点だろう、とわくわくドキドキしながら読みました。
結婚しているけど実は職場の彼女が好き、とか、相手に想われてないかもしれない・・・けど大好きな彼氏、とか見ていてハラハラしたり、共感したり、あるいは呆然としたり。
恋愛ってボタンの掛け違いみたいなことが生じやすいけど、ほつれそうなところを日々の中で修復しながら、大切にしながら送る毎日がいかに愛おしいか、改めて感じさせてくれる1冊です。

8つの物語は、それぞれ恋愛や仕事でゆるく繋がっていて、どの話もすごくいいですが、登場人物で特に好きなのは大原さん。
割りと多くの章に登場してきて、次は彼女か、次は彼女かと期待していたのに、まさか、彼女の章が無いだなんて。物語としては綺麗にまとまっていて、むしろ違和感はないですが、個人的に好きだったので彼女視点の物語も読んでみたかったなぁ。

印象に残っているのは、小山さん。
いわゆる、空気が全く読めない子。空気の読めなさっぷりにイラッとしたりもしますが、彼女の章があることで物語がぐんと面白くなってます。

巻末の解説では、飛鳥井さんのお勧め本として、本書とデビュー作の「はるがいったら」、そして「アシンメトリー」を押さえておくこと、と書かれていたので、後者2冊についても読んでみないと。

日常に焦点を当てて、弱さも強さも包み込むような飛鳥井さんの本、読み心地がよくて好きです。

★★★★

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