「風が強く吹いている」 三浦 しをん

箱根駅伝を走りたい―そんな灰二の想いが、天才ランナー走と出会って動き出す。
十人の個性あふれるメンバーが、長距離を走ること(=生きること)に夢中で突き進む。
自分の限界に挑戦し、ゴールを目指して襷を繋ぐことで、仲間と繋がっていく…
構想と執筆に6年をかけた、超大作。


清々しいほどに、真正面から青春を描いた小説ですね。
題材は「箱根駅伝」
それだけで様々なドラマが描けると思いますが、この本では作者のメッセージが明確に表れているのがまたよかったです。
速さを競い合う競技において、「速さ」を求めるのは当たり前。
ですが、ここでは「速さ」のみを求めるのではなく、「強さ」を追求します。

「強さ」とは一体何なのか。
登場人物が模索する様子が身近に感じます。
三浦さんの細かな言い回しもセンスが光ります。
例えば「釈迦の入滅を知った動物たちのように」とか、わかりやすくて絶妙。

予選会までももちろんいいんですが、見所はやはり本番。
襷を繋いでいく、ということがとても上手く描かれています。
登場人物が10人もいるのに、その個性がきちんと書き分けられて、クローズアップされているのもいいです。
思わず熱くなってページをめくりました。

ハイジの名監督っぷりも、必見です。
物語を通して、「道は1つじゃないんだよ」というのが、力強く私の胸に届きました。
「速さ」を求めることだけが答えじゃない。
もちろん「速さ」や「勝つ」ことを求めるのも1つの道だし、「強さ」を求めるのも1つの道。
走らないということですら、1つの道。何か励まされるものがありました。
テンポよく読めて、心が晴れやかになります。

今年も箱根駅伝を見るのがますます楽しみになりました。
それに、読んでいると自分も走りたくなる!

「きみの価値基準はスピードだけなのか。だったら走る意味はない。新幹線に乗れ!飛行機に乗れ!そのほうが速いぞ!」   (p200)

「頂点を見せてあげるよ。いや、一緒に味わうんだ。楽しみにしてろ」
清瀬は恐れを知らぬ王様のように微笑んだ。
  (p402)

★★★★

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