「なんくるない」 よしもとばなな

沖縄には、神様が静かに降りてくる場所がある―。
心ここにあらずの母。不慮の事故で逝った忘れえぬ人。離婚の傷がいえない私。野生の少女に翻弄される僕。
沖縄のきらめく光と波音が、心に刻まれたつらい思い出を、やさしく削りとっていく…。
なんてことないよ。どうにかなるさ。人が、言葉が、光景が、声ならぬ声をかけてくる。
なにかに感謝したくなる滋味深い四つの物語の贈り物。

沖縄を舞台にした3つの物語。

久しぶりのばななさん。
ゆるやかに時間が流れる沖縄で、ばななさん特有の色彩豊かな物語でした。全ての物語の根底にある、ぽつん、とした空気感が沖縄の風土と意外な程合って新鮮でした。
どれもすこしだけ、ぎゅっと胸が締め付けられます。

自分の力ではどうにもならないことは、たくさんあるけど、そんな「なんくるないこと」に対して、なんくるない、と言ってくれる自然な優しさに癒されました。
ばななさんの描写は、とにかくいつも優しくて、ばななフィルターを通して見た世界が大好きです。

目の前に広がる景色があまりにもきれいすぎて、その透明な水の中に住んでいる魚たちの色がまるで宝石みたいに海にちりばめられているさまも、空と海が混じることなく似た色でどこまでも続いていることも、悲しく思えた
なんて、きれいな言葉。胸がぎゅっとします。

私は沖縄に行ったことがありませんが、沖縄に魅了された友人はみんなこぞって沖縄に通っています。1度行ったら満足、というのではなく、何度でも行きたい、むしろいっそ住み着いてしまいたい、という魅力に溢れている土地なのでしょうね。

読んでいて心が浄化されるかのようでした。
ひさびさのばななワールドを堪能できました。

もっとすばやく状況を飲み込めて機転がきいていろいろ気が回ったら、あの人にこのいっしょうけんめいだった気持ちが理解してもらえたかなあ、と思うと、今でもちょっと泣けてくることがある。  (p90)

★★★★

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