「クライマーズ・ハイ」 横山 秀夫

クライマーズ・ハイとは、興奮状態が極限まで達して恐怖などがマヒしてしまうこと。

高くそびえる衝立岩への挑戦を誓う2人の男、悠木とその同僚安西。

ところが待ち合わせたその日に、御巣鷹山で墜落事故発生。

全権デスクに指名された北関東新聞の古算記者は約束を守れず、もう1人の男も山とは無関係な歓楽街で倒れ意識が戻らないまま。


1985年の日航墜落事故をベースにしており、著書自身も新聞記者としてその事故に立ち会った経験があるからか、非常に臨場感に溢れていました。
理想とする「報道」の追及と、社内の軋轢や虚栄心、その他のしがらみとの戦いなど、迷い悩み苦しむ主人公を一人の人間として身近に感じました。

頭で思うことと心で感じること、期待と現実は往々にして一致しないものなのかもしれませんね。全体の構成が素晴らしく、まるで1つの曲のよう。
一歩間違うと、ただ重いだけになりかねないテーマながら読了感はさほどでもありませんでした。
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救いとなったのは「人間」。
周りに翻弄されながらも、どこまでも人間臭さを放つ主人公に救いを見出したのかもしれません。
安西の「下りるために登るんさ」の言葉については、当初予想した意味とは違ったみたい。
もっとも悠木の見解だって、彼のいない今正解かどうか確実にはわからないけれど。
安西もまた、主人公に負けず劣らず人間臭い。

そのひと言が言えたなら、この先ずっと、誇れる自分でいられたろうに。
同じ場面を与えられることは二度とない。
その一瞬一瞬に、人の生きざまは決まるのだ。
  (p297)

★★★★

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