「ビフォア・ラン」 重松 清

重松さんの長編デビュー作。
卒業を前に、特別カッコいい何かをしてない気楽な自分に焦る優。
そんな時、授業で「トラウマ」という言葉を知り惹かれ、友人らとトラウマ作りをすることを思いつく。そうして始めたトラウマ作りだが、ひょんなことから現実と妄想がリンクしだす。


デビュー作から間違いなく重松さんの小説でした。
高校生の頃の、あの何とも言えない焦燥感や疎外感、浮遊感の再現が絶妙です。
もうとっくに忘れてしまったような感覚を、重松さんはずっと大切に持っているんでしょうか。他の小説でも、子どもの感覚などをすごく丁寧に再現されてますよね。

この小説では高校3年生の1年間を描いていますが、たった1年とはいえ、この時期の1年は人生の中でもとても濃い時間を過ごせる時だと思います。
それは卒業後、様々な進路に進む彼らの助走期間。
タイトルの通り、「ビフォア・ラン」の物語でした。

「いい子」でいることに孤独を感じ、嘘に飲み込まれてく紀子の心情が私にとって一番感情移入しやすかったように思います。
誰もが出し惜しみすることなく精一杯に生きている様子に、かっこ悪くも眩しさを感じる青春小説でした。

★★★☆

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