「捨てる力」 羽生 善治

ひとつの手を選ぶことは、それまで考えた手の大部分を捨てること―史上初の七冠独占を25歳で成し遂げ、その後も記録を塗りかえ続ける天才棋士、羽生善治。
彼が進化し続ける秘密は、意識的に過去の経験やアイディアを「捨てる」ことにあった!

「忘れることは、次に進むための大事な境地」「創造的な思考をする際に、記憶は足を引っ張る」など、最強頭脳の真髄に迫る。

挑戦を恐れない

再読です。史上初の七冠独占を25歳で成し遂げた羽生さんの、思考法。
40歳を迎え、これまで以上に「変化」を求める攻めの姿勢と状況にあわせた思考の厚みをますことを充実させ進化していきたい、と述べる羽生さんの哲学が詰まったこの1冊は、何度読んでも心に響きます。

一流と言われる人は例外なく、それぞれが自分の哲学を持っていて、単純に「才能があるから」という一言で終われるものでなく、攻める姿勢や継続する忍耐力、不調のときとの向き合い方などを兼ね備えていて、その強さに痺れるとともに自分を省みるばかりです。

ついつい守りに入ったり、楽な方に流されてしまうけど、プロとして生きる人の己への厳しさや対象への愛情に触れると、本当に背筋が伸びる想いです。

中でも印象に残っているが、羽生さんが好きだという『運命は勇者に微笑む』という言葉。そして、その根っこにある自分で決めたことを思い切ってやるという決断。

そしてタイトルにある「捨てる力」について。
膨大な情報にアクセスできる今、年齢を重ねて知識や経験が増えていきます。そうすると、選択肢や判断材料が多くて決められないということがでてきてしまう。
失敗や挫折の経験からくる恐れが直感を鈍らせる可能性もある。
だからこそ、捨てる力が大事になってくるし、「知識」として得た情報を積み重ねて「知恵」に変えていくために自分で考えることが大切。

勝敗ももちろん大事だし、負けると悔しいというけれど、羽生さんの視線はいつももっと遠くの「美しい棋譜を残したい」という理想を追っているようです。
挑戦することを辞めたらきっと、残りの人生は余生ですよね。
何かを極めるというプロフェッショナルな姿勢がとにかくかっこよくて。静かで熱い魂に触れられる1冊でした。

“どうしても流れに乗れない時、何をやってもダメだという時は誰にでもあります。その時にどうするか。
ひとつは何もしない。「今は休む時だ」と思うようにします。
もうひとつは、「ここが底だ」と考えて、「これ以上はいくらなんでも悪くならない」と言い聞かせます。 “ (P166)

★★★★

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