「バッテリーⅡ」 あさの あつこ

「育ててもらわなくてもいい。誰の力を借りなくても、おれは最高のピッチャーになる。信じているのは自分の力だ―」
中学生になり野球部に入部した巧と豪。二人を待っていたのは監督の徹底管理の下、流れ作業のように部活をこなす先輩部員達だった。
監督に歯向かい絶対の自信を見せる巧に対し、豪はとまどい周囲は不満を募らせていく。そしてついに、ある事件が起きて…!

大人でも子どもでもない濃密な時間

あつい。とにかくあつい。
火花みたいな情熱のエネルギーに満ちあふれた1冊でした。

一人突き抜けて尖っている巧は、よくも悪くも無視できない存在です。
とにかく真っ直ぐに野球を愛するこの少年がいずれ、しなやかさを身につける日がくるんだろうか。と母親のような気持ちになってみたり、ストイックな生き方に憧れを覚えてみたり。

巧の強さは、もちろん天性のものもあるけれど、誰よりも野球を好きだという気持ち、そして自分を強く信じる力が与えてくれるものが非常に大きいと感じます。
何かを強く信じようとすると、神様はいじわるなもので、不思議なほどに障壁ばかり立ち並びます。まるで、その信念を試すかのような。
巧の心が折れてしまわないかハラハラしつつ、はっと驚くような強さに毎度痺れます。本当に13歳か、と驚くけれど、プロとして活躍している選手の中には幼少期から真っ直ぐに夢を追い続けてきた人たちが実際にたくさんいるんですよね。本当にカッコイイ。

そして、この小説が単なるギラギラした小説にならないのは、青波の存在によるところが大きいです。登場するたびに、これまた巧とは違った意味ではっとさせられます。

あとがきを読むと、巧が抱く熱意が、そのままあさのさんが小説執筆に対して抱いている熱意と重なって見えます。これだけの熱量でもって書き上げられるシリーズが、おもしろくないわけがないんですよね。

このペースだとあっという間に読み終えてしまいそうですが、この本のおかげで毎日の通勤時間が至福の時間になっています。今の私の元気の素。

“とことん自分を信じてくれる人間がいるのなら、なんでもできるじゃないか。心底、思った。 “ (P257)

★★★★

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