「ぼくは明日、昨日のきみとデートする」  七月 隆文

京都の美大に通うぼくが一目惚れした女の子。
高嶺の花に見えた彼女に意を決して声をかけ、交際にこぎつけた。
気配り上手でさびしがりやな彼女には、ぼくが想像もできなかった大きな秘密が隠されていて──。

「あなたの未来がわかるって言ったら、どうする?」

奇跡の運命で結ばれた二人を描く、甘くせつない恋愛小説。

ある程度、予想はできたと思っていた。
帯には「泣ける」という文字が躍るけれど、タイトルを見てもわかるとおり、それなりの心構えができていた。
だから、泣かないと思っていた。それなのに、結果的に大泣きした。
(この先、ネタバレが入ります)

種明かしで泣かされたのではなく、間違いなく物語に泣かされた。
私たちが生きているのは連続した毎日で、何かを成し遂げ、何かに失敗しながら日々を積み重ねていくけれど、その前提がそもそも成り立たなかったら…
それは、なんと寂しい世界でしょうか。
大好きな人と、昨日までの楽しみを共有することができないなんて。目の前にいる人が、自分の知ってきた相手ではないなんて。

どれほど大好きな人を前にしても、仮に相手が記憶を喪失したら、すごく戸惑う。
それほど記憶や共有してきた思い出というものは大きい。
頭でわかっていても、心がついていくのは難しい。

私も終わりが確実にくるのがわかっていたら、もっと大切にできたんだろうか、と自分自身に問いかけることがあるけれど、終わりをわかっていながら相手と向き合うのはまた言葉にできないほどに厳しいことのはず。
ましてこの状態で両親に会わせるなんて、すごく勇気がいる。

いくつもの偶然が重なって、でも自分たちで選び取ってきた二人の道が、とても輝いて見えました。
お互いに一目惚れして、恋をしてドキドキする様子は甘酸っぱくて、やっぱり恋はいいものだなと思わせてくれました。
本棚に残しておいて、また読みたい。家で夜中に読んで、よかった。

★★★★☆

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