「あなたは、誰かの大切な人」 原田 マハ

家族と、恋人と、そして友だちと、きっと、つながっている。
大好きな人と、食卓で向かい合って、おいしい食事をともにする。

単純で、かけがえのない、ささやかなこと。それこそが本当の幸福。
何かを失くしたとき、旅とアート、その先で見つけた小さな幸せ。

タイトルに、一目惚れしました。

タイトルに惹かれてずっと読んでみたかった1冊です。

「最後の伝言」
「月夜のアボカド」
「無用の人」
「緑陰のマナ」
「波打ち際のふたり」
「皿の上の孤独」
からなる、6編の短編集です。

どれも、静かでどこか懐かしい空気が漂う、しんとした物語でした。

一番好きなのは、「月夜のアボカド」
60歳になってようやく運命の人と結ばれた女性の話は、切なく幸せに満ちていて、月夜にアボカドという美しい背景描写と相まって脳裏に残る物語でした。

”ねえ、マナミ。人生って、悪いもんじゃないわよ。
神様は、ちゃんと、ひとりにひとつずつ、幸福を割り当ててくださっている。
誰かにとっては、それはお金かもしれない。別の誰かにとっては、仕事で成功することかもしれない。
でもね、いちばんの幸福は、家族でも、恋人でも、友だちでも、自分が好きな人と一緒に過ごす、ってことじゃないかしら。

大好きな人と、食卓で向かい合って、おいしい食事をともにする。
笑ってしまうほど単純で、かけがえのない、ささやかなこと。それこそが、ほんとうは、何にも勝る幸福なんだって思わない?” (p67)

じーんと心に響きます。

どの短編集も共通して、人生順風満帆な人が登場人物なわけじゃない。
いろいろありながら、上手くいかなかったり、周りからよく思われなかったり・・・だけど、どんな人もみな、誰かの大切な人なんだよ、という温かいメッセージが流れていて、静かに癒されました。

休日の夜にゆっくり読めてよかった1冊でした。

★★★☆

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