「バッテリー Ⅲ」 あさの あつこ

「巧。おまえにだけは、絶対負けん。おれが、おまえにとってたったひとりの最高のキャッチャーだって心底わからせてやる」

三年部員が引き起こした事件によって活動停止になっていた野球部。
その処分明け、レギュラー対一年二年の紅白戦が行われ、巧たちは野球が出来る喜びを実感する。
だが未だ残る校長の部に対する不信感を拭うため、監督の戸村は強豪校、横手との試合を組もうとする…。
一方、巧と豪の堅かった絆に亀裂が入って!?

青波の視点から描かれた文庫だけの書き下ろしは必読です

少年たちの息づかいと、空気の透明感と、昆虫たちとの距離がすごくリアルでふいにタイムスリップして昔に戻ったかのような感覚に陥ります。
あさのさんの言葉選びがすごく好きです。

さて、白熱した紅白戦もおもしろければ、例の試合もわくわくするし、野球って楽しいかも・・・!と素人にも思わせてくれます。年に1回くらいは野球観戦に行きますが、こんなに近い目線で野球を感じることってないですからね。
これがまた新鮮です。小説ならでは。

私はちいさい頃、はやく大人になりたいなぁってずっと思っていました。みんなで同じ授業を受けて、やりたくもない教科をやって、学校が嫌いなわけではなかったけど、窮屈だなあと思っていたのを思い出します。
なにせ、子どもは制限が多いですよね。
もちろん保護が必要なこともわかっていますがそれでもね。巧たちが感じるままならなさは、私も昔感じたものとまったく同じ。
それでいて、私はぼんやり窓の外を見ながら大人になる日を夢見ていたのに対し、巧たちの強行突破にも近い猛進具合に微笑ましさを通り越して憧れすら感じます。

巧と豪の絡みも濃くなってきましたね。
自我が芽生えればぶつかり合うこともあるでしょう。
今後は巧と青波の絡みも増えていきそうですね。

こちらの文庫版、何が素晴らしいって、文庫版だけの書き下ろし短編として青波目線で描かれた「樹下の少年」が収録されていること。
かわいい青波から見た世界はやっぱり透明感を持っていて、それでいて実は誰よりもしなやかで強いかもしれない逞しさが根底にはあって。
いつまでもかわいい青波ではないんだろうなと思うと、ちょっとさみしですね。既に親目線ですが。

続きが気になるところで終わっていてはやく先が読みたいのですが、購入済みなのはここまで。
はやく続きを買わなくちゃ。

本気で戦っている者を、戦いもせず傍観者でいたものが批判できるわけがない。 (p18)

★★★★

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