「presents」 角田 光代

女性が一生のうちで受け取る贈り物。
形のない「名前」や「初キス」から、「ぬいぐるみ」や「うに煎餅」に至るまで12個の贈り物をテーマにした短編集です。
イラストは松尾たいこさん。文と絵で織りなす、光り輝くプレゼントたちの物語です。


まるで包装紙のようなかわいらしいブックカバーに目を引かれました。
キラキラしていて、温かく、どこか懐かしさのある一冊です。きっと読みながら、自分も贈られた数々のものを思い浮かべていたからだと思います。
形のあるものにせよ、そうでないものにせよ、何かを贈られる時人はそのものだけでなく、相手の想いを一緒に受け取っています。だからこそ、贈り物は記憶に残るんでしょうね。

偶然にも主人公はアラサーが多く、ピンポイントに「わかるわかる」と深く頷くものもありました。
どの物語もいいけど、まずは「合い鍵」が好き。
8年間付き合った彼に、好きな人がいると別れを切り出される彼女の話。
「ぼくらの線は交わらない」の台詞が、そして8年間の重みがリアルでした。ラストも大好き。わかるわかる。

それから「うに煎餅」
100点の男を自ら逃す30歳女の話。
どんな豪華な贈り物より、心に届くものがある。
主人公が20歳だったら、あるいは40歳だったらまた違うラストになっていたかも。そんなことを思いながら楽しく読みました。

私たちは知らず知らずのうちにも、たくさんのものを贈られて生きていると思います。
そこに詰まっているのは日常の幸せであり、感謝であり、エールでもある。
読み終わって、この人生もまた神様からの、あるいは両親からの贈り物だと気付いてちょっとじーんとしました。贈り物にもいい一冊だと思います。

たとえ言葉が全部嘘でも、記憶だけはほんものだ。
「記憶があるっていうのはすごいことだね」
  <記憶> (p133)

★★★★

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