「対岸の彼女」 角田 光代

直木賞受賞作。
高校生の時に読んでいたならきっと、惹かれたのは「大切なものは1個か2個で、あとはどうでもよくって、こわくもないし、つらくもないの」というナナコの言葉だったと思います。
高校生の頃は、とても世界が狭かったと思います。
その分密度が濃くて、人間関係にも過敏になっていた時期。
それだけあって、クラスの空気を読む力を持たない女性は少ないんじゃないでしょうか。
1人でいるのはまったく平気だけど、集団の中で孤立するのはとても居心地が悪くて、つい守りに入っていた自分がいた気がします。

今一番共感できたのは、修二とのくだりかもしれません。
たとえば、小夜子が感じた
「家の中は整頓され、手作りの料理が並び、引き出しにはアイロン済みの衣類が入っているその状態が、修二にとっては当然の、ゼロ地点なのだ。何かひとつでもおかしなことがあればそれはただちにマイナスになる」
というくだり。

やって当たり前のことかもしれないけど、認められたい気持ち。
家事は、まじめにやると結構大変なんだけどな。
働く母と専業主婦、集団に所属する高校生と自由奔放な高校生、子持ち既婚者と独身女社長。

まったく違う立場でいながら、通ずるもののある存在。
赤毛のアンがランプで合図をしていたように、対岸にいてもわかりあえる。
違うことにも価値があるんですよね。

ひとりでいるのがこわくなるようなたくさんの友達よりも、ひとりでいてもこわくないと思わせてくれる何かと出会うことのほうが、うんと大事な気が、今になってするんだよね。  (p97)

★★★☆

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