「あなたの余命教えます」 幸田 真音

「人の余命は正確に予知できる」
部長代理として平凡にサラリーマン生活をおくる永関は、いよいよ4年後に定年を控えている。
妻に一人娘と慎ましく暮らす中、偶然ネット上で正確な余命予知をしてくれる機関の存在を知る。その額は250万。経済小説作家が解き明かす未来とは?


タイトルに惹かれて手に取りました。
正直なところ、正確な余命を知りたいか?と問われたら、「知りたくない。でも、ちょっと気になる」というのが本音です。
余命宣告だなんて、新手の詐欺だろうくらいの気持ちで読んでいたため、最初は出てくる登場人物すべてに疑いの目を向けるような読み方をしてました。

読了感は「うーん・・・」という感じ。結局なんだったんだ、悪い夢でも見てたのかな、というような。
もちろん現実ではあるのですが、全てがふわふわしていて現実味がないまま物語が終わっていました。
そもそも何故余命が正確にわかるようになったか、というと、個人情報の漏洩問題と深くリンクしています。
いかに個人情報が守られていようと、テロ対策などの前に優先順位は変わるし、守られているようで実は脆い立場にあるのを私たちは自覚していない、という。
その膨大な個人情報を一手に集めることができたなら・・・、というのが物語の出発点であり、その副産物が余命宣告をするビジネス。

いわば、現代社会への警鐘でもあるのですが、いまいちピンとこない。
残り短いのであれば、余命宣告は意味を持つかもしれないけれど、例えばあと70年です、なんて言われたところで、果たして何か変わるんだろうか。
でも、自分の余命じゃなく、例えば作中にも出てきたような介護の問題も絡む親の余命、不倫相手の妻の余命など、自分のことより気になる余命はあるかもしれない。

全体的に作中では、余命宣告されて暴走するのは男性、一度は動揺してもすぐに落ち着いて次の行動に移せるのは女性、という印象を持ちました。これは、ある意味的を得てるかも?
登場人物が好きになれなかったから共感も少なかったけど、「舞台の最中に突然幕を下ろされても慌てないように、その日を精一杯生きていく」というのには同意です。

★★★

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