「試着室で思い出したら本気の恋だと思う。」 尾形 真理子 

年下に片思いする文系女子、不倫に悩む美容マニア、元彼の披露宴スピーチを頼まれる広告代理店OL…。
恋愛下手な彼女たちが訪れるのは、路地裏のセレクトショップ。

不思議な魅力のオーナーと一緒に自分を変える運命の一着を探すうちに、誰もが強がりや諦めを捨て素直な気持ちと向き合っていく。
繊細な大人たちの心模様を丁寧に綴った恋物語。

あなたといたい、と、ひとりで平気、をいったりきたり

「試着室で思い出したら、本気の恋だと思う。」という胸に刺さるタイトル。この短編集の主人公は、恋する30歳前後の女性たちでした。

尾形真理子さんは、博報堂でルミネや資生堂やティファニーなどの広告を手がけているコピーライターの方だそうです。
さすが、コピーライターだ・・・とため息をつきたくなるくらい、最高のフレーズを繰り出すので、思わず著者について調べてしまったほど。
「恋は奇跡。愛は意思。」
これは、著者について調べる中で一目惚れして何度も反芻してしまったフレーズ。

私はコピーライターは「言葉選びが上手い人」だと思っていたら、どうやらそんな簡単なものじゃないようで。
本書を読めばわかるとおり、ターゲットを明確に捉えて、戦略的にメッセージを伝える人でした。

肝心の小説の内容は、全く違う境遇・・・のはずなのに、どの女性の気持ちもちょっとずつわかって、読んでいて、走馬灯のように今までの恋愛を思い出しました。
中でも好きなのは、「悪い女ほど、清楚な服がよく似合う。」と、「好きは、片思い。似合う、は両思い。」

前者の相手は、ずるい男性。
時間を経てどんどん研ぎ澄まされるような女性像は、すこし身近に感じるものでした。「耐える」と「身を引く」以外の選択肢があってもいい、なんてフレーズが身にしみます。
後者の相手は、我が道を行く男性。
やさしいけど、ちょっと言葉が足りなくないだろうか?でも魅力的で、そして女性の気持ちがものすごくわかる。

30代の恋愛を丸ごと肯定してくれるようなこの感じ。久しぶりに服を買いに行きたくなりました。
試着して、自分にぴったり似合う服を手に入れたい。
恋する気持ちを沸き起こす1冊でした。

わたしにも「耐える」と「身をひく」以外の選択肢があってもいい。
自分で選んだ恋を、誰かのせいにはしたくない。(p89)

★★★★

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