「地球保護区」 小林 めぐみ

環境汚染で人類が地球から退去して数百年。
各植民惑星で増加し地球系連合を組織した人類は、もはや全員の地球回帰が不可能になっていた。

だが、独自に回帰し回復途上の自然を再開発する人々が増え、問題化している。
連合の地球保護委員会に環境調査を任された賢女コーリン、彼女に同行しつつも密かに別命を受ける青年シウ、そして彼らの命を狙う少女ニナ―この星を愛するが故の様々な想いが、未曾有の危機を招来する。

命あふれる、地球という星の物語

地球汚染で人類が地球から退去した数百年後が舞台です。
数百年たち地球も浄化され、少しずつ地球に戻る人がでてきた中、人間が同じことをまた繰り返してしまうという危惧から地球への帰還をとどめる活動をする地球保護委員会。

なんというか、政治家と庶民、とか日本で働く人とグローバルな人、とかなんでもそうですが、立ち位置によって見える景色は全く違いますよね。
いろいろ見えてる立場からは、狭い世界でじたばたしている人を見ると、もっとこうしたらいいのに、と思うかもしれないけど、その世界がすべての人にとっては文字通り目の前の世界が全てなんですよね。
一度飛び出しちゃえば「こんなものか」と思うけれど、世界を飛び出すことはものすごいパワーが必要。
そんな2つの立場が交叉する物語でもありました。

自分の正義をもとに、信念をもとに動いている人と、
生きる意味を模索している人との対比もよかったです。
スピンオフで博士の愛の逃避行物語もぜひぜひ読んでみたい。刊行希望。
博士は世紀の天才でしょうが、読み進めていくうちに実はおばかなんじゃ・・・と思うエピソード満載で。
きっとシウを作り出したのも、落ちこぼれを、というよりは、天才が故に見失ってしまう大事なものが実はある、ということに博士自身うっすらと気付いていたからこそ希望を込めて作り出されたんじゃ。なんていうのは考えすぎですかね。

私が知っている地球とは違う未来の地球に怯えつつもわくわくしたし、
地球外に暮らす人々が望郷の念を持って想う地球の美しさに改めて感じ入りました。
初読みの作家さんでしたが、作家自身宇宙にすごく思いを馳せてるのが伝わって、読んでいて満足感のあるSFでした。

キャラは、コーリンが一番好き。強いというより、強くあろうとする彼女がかっこいい。

「正解はないんだ。その中で信念を保ち続けることは難しい。
でも、正解はないということは、間違いもないんだよ。私たちはいつか地球に還る。
同じことを何度もくり返しても、螺旋を描きながら少しずつ前進するんだ。最初から負けるな」 (p404)

★★★★

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