「福島原発の真実」 佐藤 栄佐久

福島県民の強い支持を受け、18年間知事をしていた佐藤元知事の本です。
一貫して国や東京電力に対して、「原発の安心・安全性」と「透明な情報開示」を追求する姿勢がうかがえます。
福島原発をめぐり、憤り、無力感、失望、さまざまな感情が交差しています。
総じて感じられるのは、国や電力会社と県庁や県民との温度差。

もちろんどこも一生懸命なのはわかるのですが、身近に原発がある地域の人と、遠い場所のことのように感じられる霞が関の人の間には温度差が生じても不思議はないです。
戦争や原爆のこともそうですが、日本人として共有すべき事柄として認識すべきなのかもしれません。
国や東京電力などの隠蔽工作は、確かにいいものだとは思えない。

けれど、そちらはそちらで国民へ安心感を与えるために悪い情報を開示しなかった、というある種の正義があったろうし、いわば危機意識の低さが生んだことに感じます。
大きな利益のために多少の犠牲はやむを得ない、というのは厳しいビジネスの世界なら十分にありえることかもしれないけれど、「多少の犠牲」に該当する人からすればとんでもない話でしょう。

誰もが自らの正義に基づいて行動し、それが最終的には問題となった、ということだと思いました。そもそも前提条件がまるで違う中で歩み寄るのは、難しいことですね。
でもやはり、まずは知ろうとすることから全ては始まるのではないかと思います。

「地方から電気が来ていることを考える首都圏の人が何人いるだろう。地元住民の犠牲があって電力が供給されていることを、首都圏の人は知らない」   (p104)

「日本は、原発に対し、世界と共通の認識をもつべきだ」  (p153)

★★★☆

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