「女たちの内戦(セルフウォーズ)」 桂 望実

運命の人を探して合コンを繰り返す29歳

出産子育ても落ち着き、新たな自分探しに焦る34歳

気付いたら独身キャリア。年下のアプローチに戸惑う39歳

そして、何よりも心血注いだ自分の店の危機を迎える45歳
内なる敵と戦う女性たちの連作短編集。


実は、最初からドン引きでした。
何これ、人として好きじゃないタイプ!と、29歳真樹の話を読んで思いました。どんなに顔が綺麗だって、性格に問題あるよ!やな女ー!と。
だって、男性を見るものさしが「自分の理想的な結婚相手かどうか」のみだし、自分への評価はすごく高いから半ば上から目線だし・・・人としてどうなの?と。
続けて読み進める女性たちも、いわゆる、どこかに実在しそうなタイプ。
桂さんはステレオタイプを前面に出すのが得意な方なのかも。
○歳でこんな状態だったら、こんな風に思ってそうだよね、という。

「県庁の星」だって、公務員って、こういう感じでしょ?というステレオタイプを上手くついていた。
そして最後で、「でもね」という感じでそのステレオタイプを壊す。今回もそうでした。
連作小説すべてに登場する足裏マッサージの舞子が、「人は年齢などで簡単にカテゴライズされるものじゃなくて、その人が歩んできた歴史によって象られてるんだよね」という言葉を口にするのですが、それがすっと心に入ってきました。

書きたかったのはここか、と。
それまでの共感できないけれど実在しそうな女性たちへの目線が変わりました。
誰に対しても共感できないし、ちょっと嫌な気持ちすら抱いてしまうのはある種の同族嫌悪だったのかもしれないとすら思いました。

「女」という括りで、いつかは辿る道と思えるものに対する。でも、当たり前ですが辿る道は人それぞれですものね。
タイトルの「女たちの内戦」というのも秀逸ですよね。
多様な生き方が存在している「女性」の戦う場所は実は外にあるわけではなく、自分自身の中にこそある。

ここに描かれているのは共通して、自分と向き合わずに生きてきた女性だと気付かされます。
自分と向き合って初めて前に進める。佳乃のように。
子どもに対して独善的にも思える佳乃ですが、彼女の話が一番好きかな。

「たくさんの人に愛されたいと思うと、たくさんの人に愛を捧げなくてはいけませんよね。
愛っていうのは、大きな意味ですけど。仕事をしていると、たくさんの人に愛されなくちゃダメなんです。上司や同僚やお客さんから、愛されないといけませんからね。
愛されたいなら、同じか、それ以上の愛を注がなくてはいけない。それって結構しんどいです。
一人の人からの愛だけで充分って思えたら――
思える環境なら、それも、とっても素敵な生き方だと思いますよ」
 
 (p149)

★★★☆

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