「だれかのいとしいひと」 角田 光代

恋愛とか、友情とか、幸せとか、不幸とか、
そういったくっきりとした輪郭を持ったものに当てはまらない何か。
その何か、の近くにいる男と女の物語。


8つの短編集でした。
なんだろう。夢のような現実のような不思議な世界観。
どこか懐かしいような、儚く暗く、でも時折爽やかに明るい。
全体的に夏の物語が多く、寒いこの時期に読んでも夏の空気を感じました。

表題作である「だれかのいとしいひと」は、すごく角田さんぽい話。
アンソロジーでも似たような話を読んだことがあります。子どもの目線から見た親の恋人、みたいな設定。
なんだか少し切ない。

この短編集の中で大好きなのは「誕生日休暇」
主人公の臆病な行動に共感を覚えつつ、主人公を追体験。
バーで出会った男性の話を、まるで自分が聞いているような感覚で楽しみました。

こういう話大好き。
そしてこれが小説だからこそ、主人公のその後も知れて楽しめる。
静かな曇り空のような雰囲気から一転、爽やかな風が吹く青空のようなラストで終わるのがいい。

他の話も、少しもやっとした掴みどころのない感じがいいですね。
単純に1つの言葉にできないような感情とか、状態とか、たくさんあると思うんですよね。それをこんな風に描く角田さんが好きです。

★★★☆

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