『一千一秒の日々』  島本 理生

仲良しのまま破局してしまった真琴と哲、メタボな針谷にちょっかいを出す美少女の一紗、誰にも言えない思いを抱きしめる瑛子。

真剣で意地っ張りで、でもたまにずるくもあって、でもやっぱり不器用で愛おしい。
そんな、あなたに似た誰かさん達の物語です。

いろいろままならないことはあるけれど、やっぱり恋したい、恋されたい―島本理生がおくる傑作恋愛小説集。

一千一秒の愛おしさについて。

口の中で転がしたくなるような「一千一秒の日々」というタイトル。
一千一秒。
約16分。
電話するには短く、キスするには長い。

ずっと続くような響きなのに、その実短い。

重すぎず軽すぎず、適切な温度できゅっと凝縮された恋愛連作短編集でした。

私は連作短編小説が大好きだ、と気づいたのはここ数年の話。
本作も次は誰かの視点で物語が語られるんだろうとわくわくしながら読みました。
欲を言えば、一紗の物語も読みたかった。次は彼女かな、とドキドキしながら読んでいたのに、読み終えてしまって残念。
というのも、彼女と針谷の二人が好きだから。
冷静に考えるとおかしな関係なんだけど、なんだかんだで互いを信用しきってるところが素敵ですよね。

針谷の「うるさい。プリンを見てると、この柔らかさに癒されるんだよ」という名言に、私が癒されました。
一紗が惚れるのもわかるなーと思うけど、別の誰の視点から見ると彼は体の大きなさえない男性で。相性というか、恋っていうのはおもしろいですね。

そしてこの短編集が印象的なのは、いちばん始めの章が恋の終わりを描いていること。
恋の終わりから物語は始まり、うまくいく恋もあれば、はじまることすらない恋もあって、でもどれも大切で愛おしい日々で、物語の流れが美しい1冊でもありました。
表紙もかわいくて、だいすき。

「そこが男と女の違いなのかもしれないな。
なにか問題があったとき、男の場合はだれかに話したりせずに一人で考えたいと思う傾向が強いらしいんだ。だけど女の人は逆で、話して発散しようとするんだって。君と僕がすれ違ったのはそういう考え方の相違も原因だったのかも知れない」

★★★★

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