「原発のウソ」 小出 裕章

福島の親戚の家に行くと、原発関連の本がずらりと並んでいました。
「学校ちゃんと行ってない人でも、この辺りの人はみんな原発に詳しいよ」と叔母は言います。
ニュースは見ていても、ネットで情報を集めていても、どこか楽観的な気持ちのあった自分が恥ずかしくなりました。

本書にも書かれている通り、政府や電力会社に責任があるだけでなく、私たちは自分の使っている原子力発電についてもっと知るべき責任があったのだと思います。
この本は、震災以降の原発の様子、放射能とは何か、どういう風に対処すればいいか、といったことから、原発の危険性、未来のエネルギーについて書かれています。
原発を知る入門本としても、とてもわかりやすいです。

放射能にこれ以下であれば安心、という値が存在しないことを始めて知りました。
どんなにわずかな被曝でも、放射線がDNAを含めた分子結合を切断・破壊するという現象は起こるのだそうです。
原発の危険性は知っているつもりでも、必要悪だと思う気持ちが欠片もなかったといえば嘘になります。

まず代替案が、というのが頭に浮かびますが、本書でも例に出されているように沈没しかけた船に乗っているのに「代替案がなければ逃げられない」とは言いませんよね。
それほどに切羽詰まった状況にある現実をしっかりと認識すべきなんですね。まして、原発がなくても火力発電が復旧すれば大部分の電力は補えるそう。

そして、原発から出る高レベル放射性廃棄物は、100万年もの管理が必要なものだそうです。
国家はおろか、人間が生きているかすらわからないような先まで負の遺産を残すことにもっと危機感を抱くべきだったんだと思います。
「起きてしまった過去は変えられませんが、未来は変えられます」という言葉が、とても胸に刺さりました。

被曝はあらゆる意味で危険であり、除染しないよりはした方が絶対にいい。「過剰反応」と言われようと、子どもたちのためにより安全な環境を求めて対策を行っていくことが必要です。

子どもたちの被曝を減らすために私が提案したいのは「大人や高齢者が汚染された食品を積極的に引き受ける」ことです。学校給食などは徹底的に安全にこだわらなければなりません。
政府は「暫定基準値」を設けてそれを超えた食品を出荷停止にし、超えなければ「安全」と見なしていますが、それは明らかなウソです。「レべルが低いから安全」なんてことは絶対にありません。

もし安全な地球環境を子どもや孫に引き渡したいのであれば、その道はただ1つ。「知足」しかありません。代替エネルギーを開発することも大事ですが、まずはエネルギー消費の抑制にこそ目を向けなければなりません。  (p182)

★★★★

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