「だれも知らない小さな国」 佐藤 さとる

こぼしさまの話が伝わる小山は、ぼくのたいせつにしている、ひみつの場所だった。
ある夏の日、ぼくはとうとう見た――小川を流れていく赤い運動ぐつの中で、小指ほどしかない小さな人たちが、ぼくに向かって、かわいい手をふっているのを!

日本ではじめての本格的ファンタジーの傑作。

ちいさな世界の存在を信じさせてくれた本です。

有川さんの作品で、「だれもが知ってる知ってる小さな国」という本書の続編?関連本?が出されたと知って、久しぶりにこの本を手に取りました。20年以上ぶりかもしれない。

コロボックルが登場する物語。
読んだのは小学生の頃で、だいぶ内容は忘れていたのですが、幼心に戻ったようにわくわくしながら読みました。

そういえばこの本を読んで自分が生きている世界以外の世界の存在をちょっと身近に感じたりしたんですよね。「霧のむこうのふしぎな国」とかも大好きだったし、指輪物語にも夢中になったなあと懐かしい気持ちが次から次に湧き上がってきました。

さて、子どもの頃は気づかなかったけれど、本書はちいさなものに対する眼差しがとても優しい。そしてあとがきに書かれていた言葉が胸に残りました。いわく、

わたしがこの物語で書きたかったのは、コロボックルの紹介だけではないのです。人は、だれでも心の中に、その人だけの世界を持っています。その世界は、他人が外からのぞいたくらいでは、もちろんわかりません。
それは、その人だけのものだからです。そういう自分だけの世界を、正しく、明るく、しんぼうづよく育てていくことのとうとさを、私は書いてみたかったのです。

そうです、本書は、幼い頃に見つけた自分の世界を大事に信じ、守りぬく人が描かれた物語でもあったのです。

ちいさい頃に読んだ本を大人になっても大好きだと感じられることは、とても幸せなことだなとしみじみ感じ入りました。

大切なものを思い出させてくれるこの本は、長い時を経てなお愛されるのがよくわかる素敵な1冊でした。

-さあ、いっておいで、知られすぎるほど長くなく、気がつかれないほど短くなく、ちょうどいい時間だけ、あの人にすがたを見せておいで-  (p200)

★★★★★

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