「神様のカルテ2」 夏川 草介

栗原一止は、夏目漱石を敬愛する信州の内科医だ。
「二十四時間、三百六十五日対応」を掲げる本庄病院で連日連夜不眠不休の診療を続けている。

四月、東京の大病院から新任の医師・進藤辰也がやってくる。
一止と信濃大学の同級生だった進藤は、かつて“医学部の良心”と呼ばれたほどの男である。
だが着任後の進藤に、病棟内で信じがたい悪評が立つ。失意する一止をさらなる試練が襲う。
副部長先生の突然の発病―この病院で、再び奇蹟は起きるのか。

「良心に恥じぬということだけが、我々の確かな報酬だ。」

きっと泣くと思ってましたが、やっぱり泣きました。
私、夏川さんの本すごく好きです。

軽妙な言葉の掛け合いも、静かな中にある熱い信念も、温かなエピソードも、みんないい。

医師の仕事というのは、ものすごく忙しいものですね。
本庄病院のような病院はもちろん、今は訪問診療をされる先生も多いですが24時間対応で本当に頭が下がります。
仕事で接する機会が多いですが、一体、いつ休んでいるんだろうといつも思います。
私も仕事用の携帯を持ち歩いていますが、夜中に電話がかかってくることはほぼないものの、それですら緊急時には鳴る携帯というのは持ち歩いているだけで負担感があります。

まして、医師に至っては夜中であろうと電話はかかってきますものね。強い意思がないと、とても続けることはできないと思います。そこに感謝しすれこそ、そこに甘えて医師に対して過剰な要求をするなんて言語道断ですが、実際にそういう人がいるのも事実。
まさに、医師だって人間なんですよね。
医師にしかできないことというのはたくさんあるからこそ、ついつい医師自身も自分の体調や家族を置き去りにして我武者羅に奮闘してしまうものなのかもしれないですね。
私にはわからない次元ですが、力のある人なりの葛藤というのはきっとあるのでしょうね。

人間の命は生まれて、必ず死んでいく。
それは時に不条理だけど、ただ1つの例外もなく必ず皆同じ道を辿っていくのだから、どう生きるかはもちろん、どう死ぬか、というのは本人はもちろん、終末期に関わる関係者にとってもきちんと向き合わなくてはいけないことですね。
とはいえ、やっぱり本ですら、大切な人が亡くなるシーンというのは重たいですね。

砂山先生も好きですが、今回新たに登場した進藤先生もまた魅力的な人物ですね。
夏川さんの描く人物像が大好きです。
それに、信州の山々の描写もいいですね。読んでいるだけで想いが信濃の山まで飛ばされそう。
日本酒の知識があればもっと楽しめただろうに、と思うくらいに、お酒の名前もたくさん出てきますね。

小説としてももちろん最高にいい作品ですが、医師の方がフィクションとはいえこのような物語を書くということに強いメッセージ性を感じました。
ほんと、いい本だなあ。

「目の前にあることを続けていれば、いずれそれが夢へと転ずる。まあ、人生というのはそういうものだ」 (p230)

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