「ジェシカが駆け抜けた七年間について」 歌野晶午

原田歩はアスリートとしての生命を、監督の〝最悪の指導〟によって断たれてしまう。
だから呪い殺すことにした。そのときは、自分が遠く離れたところにいても大丈夫なように、わたしの分身か、親友のジェシカを使おう。そう決めた。

……原田歩の失意の自殺から七年、ジェシカ・エドルは導かれるように、そこへやって来た。目の前には背中を見せている監督、ジェシカは側にあった砲丸に手を添える。
彼女のためにしてあげられることはもうこれしかないのだ――。

もどかしい気持ちが募った1冊でした。

根性論ではなく、理論を。
かつてのマラソン界に異色のイケメン監督が現れた。
熱い心を持ちながら、その全ての情熱をマラソンに賭けた彼が、ほんのすこしでも女性の気持ちに寄り添っていてくれてたら。そう思わずにはいられなかったです。

小説として構成も設定も十分におもしろいのに最後もやっとしてしまったのは、きっと歌野さんに対する期待値があまりにも高かったため。
「人を殺す」って、やっぱりものすごい動機が必要ですよね。ミステリーを読んでるとばんばん人が殺されるので慣れてしまいそうになりますが。
誰かのために人を殺す、というのは、誰かを守るためであったり、よほど憎まない限りできないことだと思います。同情じゃ、人は殺せない。ような気がします。
だからこそ、最初に想定させられた犯人像じゃ現実味がなく感じてしまったのかもしれない。

ただ、ミステリーとしてではなく、この小説はストーリーがおもしろい。エチオピア歴というのも、初めて知りました。時間まで違うなんて、不思議だし、おもしろい。
といっても、日本にも和暦があるし、それほど珍しいことじゃないのかもしれないですね。知らない世界がいっぱいです。

なんだか誰が悪いというよりは、ボタンの掛け違いのようなことばかりで、ちょっと切なかったですね。

★★★☆

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1.『ジェシカが駆け抜けた7年間について』/歌野晶午 ◎

初めて、歌野晶午の作品を読んだ。その、記念すべき1冊目が『ジェシカが駆け抜けた7年間について』。 なんと!の一言に尽きる。


「ジェシカが駆け抜けた七年間について」 歌野晶午” への2件のコメント

  1. yocoさん、こんばんは(^^)。
    懐かしいタイトルだ!と出てきてしまいました。
    歌野晶午さん初読みで、気持ち良く騙された作品です。
    騙された~!やられたわ~!ナルホドね~!
    と、妙に爽快な読後感がありました。

  2. こんばんは~^^
    水無月さんも読まれてましたか♫
    おもしろくて私もすいすい読み進めちゃいましたが、前に読んだ歌野さん作品で見事なまでに騙されたので、思いっきり警戒しながら読んでたせいで今回は騙されなくて、勝手にもやっとしちゃってました。笑
    騙された悔しい!って思っても、それがクセになるというか、納得感のあるオチであるほど爽快感ありますよね^^ 

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