「メグル」 乾ルカ

「あなたは行くべきよ。断らないでね」
無表情ながら美しく、奇妙な迫力を持つH大学学生部の女性職員から、突然に声をかけられた学生たち。
店舗商品の入れ替え作業や庭の手入れなど、簡単に思える仕事を、彼女が名指しで紹介してくるのはなぜだろう―。

アルバイト先に足を運んだ学生たちに何がもたらされるのか、厄介事なのか、それとも奇蹟なのか?美しい余韻を残す連作集。

世にも不思議なアルバイト、見てみませんか?

H大学学生部では、学生へアルバイトや家庭教師を斡旋する求人の仕事もしている。
その中には、ちょっと奇妙な仕事も混ざっていて・・・
「ヒカレル」「モドル」「アタエル」「タベル」「メグル」の5つの短編集ですが、全てに共通して登場するのが奨学係唯一の女性職員である悠木さん。

ちょっぴりホラーで、ふんわり心温まるのは乾さんの作風なんですね。
最初の「ヒカレル」はいい話ながら結構怖くて、ドキドキしながら読みました。
亡くなった後に、生きている人をあの世に引っ張っていってしまうという「引く手」。それを阻止するために、一晩中死者の手を握って添い寝をしてください。それも誰もいない真っ暗なお寺で。
そんなアルバイト、想像するだけで怖すぎてもう・・・。
おまけに斡旋する悠木さんには、「あなたは行くべきよ。断らないでね」なんて言われるし。
結果的にはいい話ではあるんですが、とてつもなく怖かったです。

振り返ってみると、どれもこれも温かさを交えつつも、奇妙で怖い。
それでいて最後を美しい余韻で終わらせているのがさすがです。春を心待ちにさせてくれる表題作でもある「メグル」は、怖いながらもよかったですね。
いつでも季節は巡り、美しい花が咲いて気持ちのいい日が訪れる。そう意識することで、なんとも心が晴れやかになるものですね。

「タベル」で佐藤さんがあるものを失って、不思議な力を得たように、悠木さんも失ったものの代償として不思議な力を授かったのかもしれませんね。
人と想いを繋ぐ、繋ぎ手のような力を。
読み進めていくにつれて、少しずつ悠木さんの過去や人柄が見えてくるのもよかったですね。
ちょっと怖いけど、また読みたくなる短編集でした。

★★★★

follow us in feedly

Pocket

トラックバックURL

トラックバック一覧


「メグル」 乾ルカ” への2件のコメント

  1. yocoさん、こんばんは!

    おぉ~これ面白そうな本ですね♪
    怖がりなのにホラーとか謎めいた本が好きなもんだから、
    これもドキドキしながら手を伸ばしてしまうような予感がします(笑)

    それにしても真っ暗なお寺で
    一晩中死者の手を握って添い寝をするですと……!!!(゚〇゚;)
    ど、どんな苦行ですかそれwww

    温かさと怖さの同居する本、
    大好きなジャンルなので、絶対読みたいです*^^*

  2. nanacoさん、こんばんは~^^

    おもしろいですよ~おすすめですよ~♫ 笑
    私も毎回心臓ばくばくしちゃうのに、怖いもの見たさからついつい手を伸ばしちゃう・・・w
    というか、真っ暗なお寺で死者の手を握って添い寝って・・・そのシチュエーション想像するだけで怖すぎないですか・・・!?(;ω;`)
    他にも怖いのあるので、ぜひぜひ読んでみてくださいw

    怖いけど、いわゆるホラー小説みたいに読者を怖がらせるのが目的なわけではないので、そういう意味では安心して読めます^^

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。