「りかさん」 梨木香歩

雛祭りにようこがおばあちゃんからもらった人形の名は「りかさん」。
生きている人間の強すぎる気持ちを整理し、感情の濁りの部分を吸い取る力を持った「りかさん」とようこのふれあいを優しく描いたファンタジー。

「彼女」と一緒なら、きっと大丈夫。書下ろし「ミケルの庭」併録。

自分の中の幼心が、静かに癒されます。

友達みんなが持っている「リカちゃん人形」
欲しいと話してみたら、おばあちゃんが雛祭りに贈ってくれることになった!ものすごく楽しみにして届いてみたら、それは市松人形の「りかさん」だった。

その衝撃は計り知れないですよね。
それでもようこがいい子すぎてもう。そこでこんなんじゃ嫌だ!と駄々をこねるわけでもないし、全体的に登場する子どもたちはみな品がよくていい子です。
梨木さんの小説は、基本的にその人が持つ世界、というのをとても大事にしますよね。ほかの人と違うことをきちんと受け止めてくれる人が近くにいて、周りに無理に合わせる必要なんてないんじゃないかな?と思わせてくれる。

そもそも、人形が話をするというこの世界、特異なようでいて、人形を大切にしたことがある人ならすこし理解できますよね。人形に何かが宿っている感覚、見守ってくれているかのような感覚。人の形代を取っているからこそ、想いが入りやすいですよね。

読んでいて優しい気持ちになれる、癒しの1冊でした。

そして、もう1作の「ミケルの庭」は、そこから数十年先の物語。主役ではないけど、ようこが再び登場。
子育てをしたことがない自分からすると、生まれたての子どもの扱いがわからないこともあって、読んでいて真剣に怖かったりして。
人生において、どんな因果か自分のせいじゃなかろうか、と思ってしまうくらいのできごとがあるけど、それは何も自分に限ったことじゃない。
ちゃんと、前に進んでいけると思わせてくれる、これまた光を感じる物語でした。

梨木さんの、言葉が好きです。強く優しくなれる気がします。

けれど、因縁も結局、縁だからね、なにがどう翻って見事な花を咲かすか分からないもの (p190)

人形の本当の使命は生きている人間の、強すぎる気持ちをとんとん整理してあげることにある。木々の葉っぱが夜の空気を露に返すようにね (p76)

★★★★

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1.『りかさん』/梨木香歩 ◎

「「りかさん」  梨木香歩」について


「りかさん」 梨木香歩” への2件のコメント

  1. yocoさん、こんばんは(^^)。
    『りかさん』は、私が初めて読んだ梨木さんの作品です。
    おばあちゃんの優しさと、りかさんようこのつながりの確かさ、今でも思い出します。
    『りかさん』に出会ってから、色んな梨木作品を読み続けてきましたが、やはりこの作品が私には原点だなぁ、と思います。
    ようこが大人になってから(15年後くらい)の物語『からくりからくさ』はお読みになりましたか?りかさんはちゃんとは出てきませんが、こちらも素敵な物語です♪

  2. 水無月さん、こんにちは~^^
    初めて読まれた梨木さん作品、「りかさん」だったんですね!
    私は「西の魔女が死んだ」だったなぁ。こちらもそうですが、おばあちゃんの優しさもそうだし、この優しい世界観が本当に素敵ですよね。
    「からくりからくさ」、未読なんですよー!15年後くらいだと、ちょうどミケルの庭とかと同じ時代なんでしょうか。大人になったようこの物語もじっくり読んでみたいので、すごく嬉しいです。「家守綺譚」の続編もはやく読みたいです・・・♫

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