「黄金の烏」 阿部智里

八咫烏の一族が支配する世界山内で、仙人蓋と呼ばれる危険な薬の被害が報告された。
その行方を追って旅に出た、日嗣の御子たる若宮と郷長のぼんくら次男雪哉が、最北の地で発見したのは、何と村人達を襲い、喰らい尽くした大猿だった。
生存者は小梅と名乗る少女がひとりだけ―。

一体、この世界で何が起こっているというのだろう?

一体、どこまでおもしろくなるんだろう。

前作がこんな風に布石になっていたとは。
そして、ここにもきっと次作への布石が散りばめられているんだろうと思うと、本当に読み進めるのが楽しみで仕方がないシリーズです。
少しずつ見えてきた八咫烏の世界の全容。
真の金烏と呼ばれるものの存在も、今作でようやく見えてきました。しっかりとした世界観に裏打ちされたファンタジー設定。身悶えするほどツボです。

(この先、ネタバレ含みます)

見所がいろいろありますが、まずは雪哉。
再び登場してくれるのを心待ちにしていました。相変わらずの健気な一面に目頭が熱くなる場面もありつつ、成長を頼もしく感じてました。
3年後の活躍が今から楽しみです。きっといい配下として活躍するんでしょうね。

それから若宮。前作で若宮サイドの物語が読めて彼のことをある程度わかったつもりでいたら、まだまだ全然わかっていなかった・・・と、雪哉と一緒に呆然としてみたり。
知れば知るほど、なんて重いものが彼の肩にはかかっているんだろうと愕然とします。種の存続なんて、とてもじゃないけど、背負うには重すぎる。でも、彼をよく理解して支えてくれる伴侶がいてくれて、本当によかった。

そして今回のメインストーリーに係る犯人について。
たとえそれが甘えだとしても、一概に彼女を糾弾できない。だって、彼女だって好んでそんな道を選んだわけじゃないのだから。正しく真っ当に生きようと頑張っていた時期だって確かにあって、でもそれが踏みにじられ、幼い頃に得られなかった愛情が大人になってから歪な承認欲求として表れたからといって、どうして彼女を責められるだろう。
確かに、同じ境遇でも頑張って踏ん張っている人だっているだろうけど、そんな境遇に陥ったことのない人に責められたって、あなたに何がわかるかと思ってしまうのは、どうしたって自然なこと。

毎度思うことですが、阿部さんの作り出す世界観も素晴らしいけど、人の内面をえぐり出すような人物描写にいつも引き込まれます。最後に明かされた若宮の心の話も、本当にキツイですよ。

さて、事件はひとまずのところ収束したものの、猿の話は全く解決しておらず、今後はどんな話が待ち受けているんだろうと既に次巻が読みたくてたまらない。
次巻を読んでしまったら、その後は未刊行。読みたい気持ちを募らせることになりそうですが、著者と同じ時代に生きてることがただただ幸せなので、楽しみに待っていようと思います。

★★★★★

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1.『黄金の烏』/阿部智里 ◎

おおお~!! 阿部智里さんの八咫烏の世界の物語が、シリーズ化しましたっ! 『烏に単は似合わない』・『烏は主を選ばない』に続くシリーズ第3作目。『黄金の烏』は、2作目の主…


2.黄金の烏(阿部智里)

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3.黄金の烏 阿部智里

黄金の烏著者:阿部 智里文藝春秋(2014-07-23)販売元:Amazon.co.jp 八咫烏の一族が支配する世界山内で、仙人蓋と呼ばれる危険な薬の被害が報告された。その行方を追って旅に出た、日嗣の ...


「黄金の烏」 阿部智里” への6件のコメント

  1. yocoさん、こんばんは(^^)。
    ホント、どこまで面白くなるのでしょうねぇ♪
    ちなみに次巻も面白いのですよ、もっともっと♪
    阿部さんと同時代に生きてること、私も感謝です(*^^)v。
    本作での雪哉の活躍、ホントに健気で、大いに応援してました。
    これからも広がって行く「八咫烏世界シリーズ」、楽しみですね!

  2. 水無月さん、こんばんは~^^
    ほんっと、期待を裏切らないどころじゃないおもしろさです・・・!!
    次巻もおもしろいなんて・・・なんて幸せなんでしょ(;ω;`)
    読むのが楽しみすぎて仕方ないです!
    そうなんですよ、雪哉ほんと健気でもう。
    前作ではそうか、雪哉こんなこと考えていたのか、なんてことにも触れられたり、とにかく超絶いい子ですよね。こんなにもシリーズ化されて嬉しい作品は久しぶりです。
    次巻をわくわくしながら待てるって、幸せですよね。
    ほんとに楽しみです!(*´▽`*)

  3. 若宮の持つ”金烏”の秘密は、私も呆然としちゃうくらい衝撃的なものでした。最強だと思っていたのに、そんな弱点があったとは…という感じですよね。
    雪哉がやっと決心してくれて嬉しいですが、これからどんな困難が待っているのかと思うと不安もありますが。まぁ、それよりも楽しみの方が大きいんですけどね(笑)
    これから、どれだけ面白くなるのか、考えるとワクワクが止まりませんね。

  4. こんばんは^^
    前作を読んだときに雪哉が辞めてしまうことにもやもやしていたので戻ってきてくれて本当に良かったと思いました。
    若宮のこと、色々分かってきましたよね。
    驚くこともありましたけど、根底ではどうしてこんな世界観を作れるんだっていう事ばかり考えてしまいます^^;
    次作も面白いですよ~。まだまだ楽しめますね。
    羨ましいです^m^

  5. すずなさん、こんばんは~♬
    いやーほんと、衝撃的な弱点ですよね。一気に最弱になれるくらいの弱点でもう、びっくり。若宮に忠誠を誓うということは、若宮の使命を一緒に背負うというのと同義だと思うので、本当に茨の道ですよね。
    でも茨の道だと認識した後にその道を自ら選び取った雪哉がもう素晴らしくて…!どこまでも応援するよーという気持ちでいっぱいです。
    本当にどこまでも楽しみです♪ 

  6. 苗坊さん、こんばんは~♬
    ほんと、おかえり雪哉!!って感じですよね。よかったよー戻ってきてくれて(;ω;)
    >驚くこともありましたけど、根底ではどうしてこんな世界観を作れるんだっていう事ばかり考えてしまいます^^;
    思いっきり同意です・・・w
    著者の底が見えないw 一体なんなのすごすぎるんですけど・・・!って毎回思わされる。しかもこれ、何度も書いてますが、デビュー作シリーズですよ。。。どんだけですかね・・!
    いやーでもほんと嬉しいです。読めて幸せ。
    そうなんですよ、まだ1巻未読作品があるので、それもまた楽しみで!
    夏くらいにまた次の巻も出たらいいですね^^ わくわくしますね♬

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