「コイノカオリ」 角田光代 他

最近、恋のしかた、忘れてませんか?
ひとは、一生のうち何度恋におちるのだろう。
ゆるくつけた香水、彼のタバコや汗の匂い、好きな人に作った特別な料理——。
柔らかい恋の匂いをモチーフに繊細に、あるいは大胆に綴る、6つのラブスト−リー。

アンソロジーも、いいかもしれない。

いつまでも記憶に残る、恋にまつわる香りの話。
6人の著者によるアンソロジー。

シリーズ物とアンソロジーはいつも、敬遠しがちでした。
シリーズ物は一気に読まないと忘れてしまうから。
アンソロジーは1人の作家をじっくり読みたい私に不向きだから。

それが、新しい作家を開拓するのにアンソロジーもいいかも、と思い始めて手に取った次第です。

宮下奈都さんの「日をつなぐ」、井上荒野さんの「犬と椎茸」が特によかったです。
コイノカオリをテーマに、同じシャンプーのにおいを出す角田さんのセンスも好きですが。

コイノカオリというより、アイノカオリの方がしっくりくる気もしつつ、
読み直しては、やっぱりコイノカオリであってるのかも、思わされる。
恋というには深いけれど、愛というには純情な気がして。

「日をつなぐ」はとてもリアルで、主人公の閉塞感から食による再生の過程が心地よく感じました。豆が苦手な私は「おいしそう」とは思えなかったけど、それでも元気になれる感覚。
出産後の孤立感や忙しい彼に対する言いようのない寂しさ、不満の描き方が絶妙。

「犬と椎茸」は香りの使い方がすごく上手い。
過去の恋人やある人の死といった非現実さと、夫のいる日常という現実が1つの香りを通して繋がっています。
トゲトゲしている気持ちの表現がいい。
ほのかに余韻の残る作品でした。

島本さんのは、相変わらずえぐい。
栗田さんのは、ちょっと温かくなれる。
生田さんのは、感情の表現が上手くて心にすとんと響く。

アンソロジーもいいな、と思えた1冊でした。

★★★☆

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