「水やりはいつも深夜だけど」  窪美澄

思い通りにならない毎日、言葉にできない本音。
それでも、一緒に歩んでいく――だって、家族だから。

『ふがいない僕は空を見た』の実力派が、ごく普通の家庭の生々しい現実を強烈にえ
ぐり出した、珠玉の連作集。

子育て中に読んだら、ふっと楽になれそうです。

最近、本のタイトルというのは著者が決めるものではないと知りました。
編集者などが「タイトル会議」なるものを開いて決めることがほとんどのよう。もちろん、著者が決める場合がないわけではないけれど。

一目見て表紙の写真と、このタイトルに惹かれました。
読み終わった後だからこそわかる、ぴったりと本書の空気感を表している魅力的なタイトル。秀逸ですね。

これはすこしハイソな町に暮らす、子どものいる家庭を切り取った5つの物語です。
どこにでもありそうで、だからこそとてもリアルな親と子の関係、夫婦の在り方、家族の形。

幼い子どもがいる家庭というのは、結婚して長すぎず短すぎない期間を経ています。恋は感情のままにできるけど、何かを維持するというのは意志がないとできない。というのは、誰もが同じなんだと感じさせてくれます。ただ、その根底には揺るぎない愛情があって、ああ家族っていいなあと温かい気持ちにもなります。

窪さんの描く町並みはなんだかとても現実味があって、不思議なほどありありとその町を思い描けます。
それから人物像も、とても親近感がわくくらい、みんな一生懸命で器用じゃない。でも、きっと人間そんなもので完璧になんて生きれないから、迷ったり揺れたりするんでしょうね。

どの章もよかったですが、「砂のないテラリウム」がお気に入りです。日常を切り抜いた物語、いいですね。

★★★★

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