「屋久島ジュウソウ」 森絵都

ゆるゆる・和気藹々・のんびり楽しいグループ旅行のつもりで屋久島を訪れたモリエト一行。
ところが、待っていたのは九州最高峰への登山だった!急勾配に泣き、杉に癒され、脳内麻薬でハイになる。
初心者チームが挑むいきあたりばったりトレッキングと、海外でキレた瞬間や忘れられない味など、世界中を巡って出会ったエピソード14本の詰め合わせ。

旅気分満載のエッセイ集。

1歩踏み出したい人へ

一度は行ってみたい、屋久島。
こちらは、森絵都さんが屋久島をジュウソウした様子を綴ったエッセイです。
ジュウソウ=縦走だということも知らず、重装備の「ジュウソウ」だと思っていたほどの初心者な森さん。
直面した山道は相当にハードそうでした。
とはいえ、全体的にゆるゆるした雰囲気のエッセイで、読んでいて楽しい。それでいて、軽ーい気持ちで屋久島に行こうとしていた人をばっちり諌めてくれます。

勝手なイメージですが、なんとなくインドア派だと思っていた森さん(何の根拠もない)ですが、初めて読んだこのエッセイで、ものすごくノリがよくて、実はとってもアクティブなことを知りました。
第2章では世界を旅したエッセイが綴られているのですが、これがまたおもしろい。日常的に旅をする、とまではいかないかもしれないけれど、人生の中に旅があるといっても過言でないほど、世界各地を巡られています。
それもわりと、本能の赴くままに。

なんでしょう。読んでいて感じるのは、ノリって大事だよね、ということ。
なんと森さん、屋久島縦走どころか、この後フルマラソンにまで挑戦されてるし、結構いろいろしている。そもそもの動機が、運動嫌いの主人公がやむにやまれぬ事情でフルマラソンに挑む、そんな小説を書くにあたって自分もフルマラソンを走ってみよう、というところですが、普通は思いついてもなかなか実現できない。まして、そのために1年半もトレーニングしたなんて、素晴らしい。
そして、そうしたフルマラソンよりもよっぽど大変だったという、屋久島の宮之浦岳。一体どれほどのものなんでしょうね。すさまじい。

世界で出会った忘れられない味の話もよかった。
いま巷では、旅に出たって人生は変わらない、なんてフレーズが流行っているようですが、そんな人にはこの本をプレゼントしたい。
いつもと違う景色、いつもと違う人たちと関わって、自分の感性が研ぎ澄まされる感覚は、旅特有のものだと思うのです。
正直私もインドに行ったからって人生変わったわけではないけれど、自分が知らない世界に触れた衝撃は、私の人生に確実に影響を与えました。
旅って、やっぱりおもしろい。

自分がそこへ行く必然について何かしら心当たりがあるのは、幸福な旅だ。  (p 102)

★★★★

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