「No.6 #1」 あさのあつこ

2013年の未来都市《NO.6》。
人類の理想を実現した街で、2歳の時から最高ランクのエリートとして育てられた紫苑は、12歳の誕生日の夜、「ネズミ」と名乗る少年に出会ってから運命が急転回。
どうしてあの夜、ぼくは窓を開けてしまったんだろう? 飢えることも、嘆くことも、戦いも知らずに済んだのに……。

あさのあつこが描く「破滅」と「希望」の物語。

希望はあるのか、考えさせられる物語です。

美しく衛生的、そして安全な理想都市No.6が舞台です。
どういった背景でこの都市がうまれたのかわかりませんが、多くを管理され守られたこの都市は美しくも、汚いものに蓋をするような、邪魔なものを排除するような歪さを抱えていて、正直ちょっと、怖い。
でも、これは何も架空の都市の話というよりも、今私たちが生きているこの世界を揶揄しているような一面もありつつ、考えさせられます。

都市を発展させる鍵は優秀な人間であり、そのために教育に重点を置く。これはどの国家も行っていることですよね。
社会主義国家だって、理想を追求した形の1つだったろうし、人間はいつも理想を追求しながら発展してきたはず。
残念ながら人間はみな強いわけでも善人なわけでもないから、包括的に生きることが望ましいけど、なかなか難しい。

今はこちらの世界も格差が広がっていますが、一度レールを外れたら這い上がることが難しい社会こそが問題です。幸いにもこのNo.6のように一度外れたらもう救いはないなんていう状況ではないですが、今は過渡期な気もしています。
きっと人は、ただ何かを享受するだけでは満たされない生きものなんじゃないかな…と思いつつ、多くの犠牲の上に成り立っているであろうNo.6という都市の裏に何が隠されているのか、蠢く闇を見つめていきたいと思います。

★★★★

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