「異国のおじさんを伴う」 森絵都

思わぬ幸せも、不意の落とし穴もこの道の先に待っている。
どこから読んでも、何度でも、豊かに広がる10の物語。

誰もが迎える、人生の特別な一瞬を、鮮やかにとらえる森絵都ワールド。

森絵都ワールドに、ほっこり。

重すぎず、軽すぎず、くすりと笑えるものも含んだ10編の短編集です。

ひさびさの森絵都さん。
やっぱり大好き。読めてよかった。
いくつかピックアップしてみます。

「藤巻さんの道」
ベルンハルト・M・シュミッドの存在を、この短編で初めて知って気になって仕方がないところ。
道の先に未来があるように、2人の恋が続くといいですね。

「竜宮」
まわりから見たら無駄に思えたり、不器用だったりするんだけど、苦い経験から生み出された自分の信条というのは、できる限り守っていきたいよね、と共感したお話。

「ラストシーン」
キャラクターがコミカルでいながら、考えさせられる1編でした。それと同時に「検察側の証人」という映画もすごく気になる。
森絵都さんのブックレビュー的な本があったら絶対買うのに、と思わせるくらい、さり気なく出される作品がどれも気になるのです。

「佳川里香子、危機一髪」
とっても爽快で、思わずくすっと笑ってしまいました。
里香子にはどうかこのままずっと、我が道を歩き続けて欲しい。

「母の北上」
ふっと親子の関係性が変わる瞬間って、あると思うんです。親が絶対的に頼れる存在から、守るべき存在に変わるような。
そんな瞬間をうまく切り取った本作、心が温まります。

「異国のおじさんを伴う」
表題作ですね。
ミュンヘン、って確かにいい響き。
直感に従って行動する人が好きで、こんな不思議な縁も素敵ですね。ちょっととほほな感じもまた愛しい。

楽しい思い出は、いつだって人間を支えてくれるものよ。 (p157)

★★★★

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