「慈雨の人 —韓国の土になったもう一人の日本人」  江宮隆之

植民地下の韓国で千人以上の孤児を育てて「韓国孤児の慈父」と呼ばれた曽田嘉伊智の数奇な生涯を初めて描き、日韓の秘められた親交の歴史をあきらかにする感動作。

国籍なんて関係ない。そうでしょう?

日韓の関係が最悪だったときにさえ、愛されていた日本人。
1000人以上の孤児や迷い子を救い、当時社会福祉の概念の薄かった韓国の地の保育園で、子供たちを守り、育てあげた人がいたことを、はじめて知りました。

広い世界を知りたいと故郷を飛び出した彼が、英語やドイツ語、韓国語などさまざまな言語を習得し、多くの人との縁を築きながら歩んだ軌跡が、フィクションも交えながら綴られていました。

金策に追われ、韓国人からも日本人からも敵対視されながら、なんでこんな思いをしてまで…と心が折れそうになったこともあったでしょうし、粗食、粗衣で常に子どもたちを優先させてきた姿勢が、最終的には人の心に届いたんですね。
こんな風に誰かのために奔走出来る人になりたいです。

私には本書で書かれてるような天啓、というものがまだよくわかりませんが、もしかしたらそういうものもあるのかもしれませんね。
それから、嘉伊智さんのお父さんが言われた、「物事に到達点などない」という言葉がすごく刺さりました。
なんというか、確かに偉業を成し遂げた素晴らしい人の話なんですが、それだけじゃなくて、この時代の空気感が好きでした。

「よいか、物事には到達点などないということを心に銘記せよ」 (p23)

★★★★

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